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【高知新聞】 【角界の暴力体質】幕引きではなく正念場だ

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 元横綱日馬富士関の暴行事件で日本相撲協会が、貴乃花親方の理事解任の処分を行った。
 事件発覚から約2カ月にわたって角界を揺るがせてきた問題は、これで事件の当事者、関係者の処分が終わったことになる。
 相撲協会は14日に始まる初場所に向け、早期の幕引きを図りたいだろうが、課題は山積しており、むしろこれからが正念場といえる。大相撲に関係する全員が気を引き締めてもらいたい。
 力士の暴力事件では、2007年に親方や兄弟子が序ノ口力士に激しい集団暴行を加え、死亡させた例がある。17歳の命が奪われた角界の痛恨事だった。
 そのときも角界は再発防止を誓ったはずだ。10年がたって再び起きた事件は、品格も求められる横綱の世界にまで暴力体質が根深く残っていたことを物語る。
 相撲協会は昨年12月20日、危機管理委員会の調査報告書を受け、関係者の処分を発表した。
 既に現役を引退していた元横綱日馬富士関については「引退勧告相当」とした。今後、番付上位の力士が暴力を振るった場合の処分基準という意味合いがある。
 貴乃花親方はこの時点で、自らと暴行の被害者である貴ノ岩関への協会の聴取を拒んできた。このことがいたずらに事態を混迷させ、処分の発表は越年した。
 巡業部長という要職にありながら、巡業先で起きた事件を協会に直ちに報告しなかった。理事解任もやむを得ない。
 来月には理事候補選挙があり、貴乃花親方が立候補することは可能という。だが、一連の事件で親方と八角理事長ら執行部との溝が深刻化しているという。
 両者の間のしこりも、今後を不透明にする要因となる。貴乃花親方も公の場で沈黙を続けるのではなく、大相撲ファンのためにも堂々と語るべきではないか。
 危機管理委員会は、相撲協会の責任も問い、暴力事件の再発防止策を提言した。
 同委は「指導のためであれば暴力も容認されるという意識が残存していた」と述べ、相撲界全体の意識改革の徹底を求めた。いかなる理由があっても、暴力は人間の尊厳を傷つける許されない行為だ。
 事件を風化させないために「暴力追放の日」を制定して、社会にアピールすべきだと指摘する。税制面で優遇される公益財団法人として、社会的責任を自覚すべきだ。
 暴力行為の当事者や関係者、親方、執行部、危機管理委員会の間で報告が遅れ、協会の対応が後手に回った。これらの報告を義務として明文化する必要がある。
 いずれももっともな指摘だが、今度こそ着実に実行に移さないと単なる対症療法に終わる。「暴力事件はなぜ繰り返されるのか」という問題を、角界の全員が自らに問い続けるしかあるまい。

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