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【山陽新聞】 膨らむ社会保障 負担と給付真剣な議論を

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 高齢化に伴い、医療や介護、年金などの社会保障費が膨らみ続けている。政府が昨年末に決定した2018年度予算案では過去最大の33兆円弱と、全体の3割超を占めた。政府は社会保障を全世代型に転換する方針だが、高齢化への対応は待ったなしだ。
 予算編成の焦点は医療、介護、障害福祉の3分野で国が定める公定価格の改定だった。政府は介護サービス事業所に支払う介護報酬を4月に0・54%、障害福祉も0・47%引き上げ、医療分野の診療報酬は医師や看護師の人件費など本体部分を0・55%上げるものの、全体では0・9%下げることを決めた。
 診療報酬は原則2年ごと、介護と障害福祉は3年ごとに見直しており、同時改定は6年ぶりだ。今回は団塊の世代が全員75歳以上になり社会保障費が急増する25年を控え、負担と給付のバランスについて、医療と介護を合わせた一体的な検討が期待された。
 しかし、薬の価格を実勢に合わせて安くすることで、高齢化に伴う社会保障費の自然増を1300億円抑える政府の目標を達成するめどが立ち、制度の持続可能性を高める真剣な議論は先送りされた。残念と言わざるを得ない。
 政府は今後、この範囲内で個々の治療や介護サービスの報酬を決める作業を本格化させる。だが、重要なのは、国民が安心できる制度の将来像だ。財源と合わせた抜本改革の議論を始めるべきである。
 そうした中、診療報酬と介護報酬の改定方針などをそれぞれ検討した厚生労働省の審議会はともに、今後の柱として「地域包括ケアシステム」の推進を挙げた。高齢者らができるだけ住み慣れた地域で暮らせるよう医療や介護などのサービスを包括的に提供することで、入院や介護施設への入所に比べて社会保障費の抑制が期待される。
 これを踏まえ、厚労省は手術後などの急性期に偏る病院のベッドを、退院に備えたリハビリ向けに切り替える考えだが、家で十分なケアを受けられ、病状が悪化すれば入院できる安心感も欠かせない。
 訪問診療、看護など在宅医療の体制充実が必要だ。病院とかかりつけの医師、訪問看護師、介護職員らが連携を強めて、情報を共有する取り組みも広げてもらいたい。
 ただ、高齢化の進展は地域によって差がある。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、75歳以上の人口が最も増えるのは岡山、倉敷市では2030年だが、高梁、新見市では既にピークを迎えているとされる。
 医療機関や介護施設などの地域資源もさまざまである。市町村は18年度から3年間の介護保険の計画を策定中だ。住民の意向を踏まえ、地域の事情に応じた包括ケアの在り方を示してほしい。

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