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【福島民報】 【文化財保護と活用】「白河方式」に期待

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 国の文化審議会は昨年12月、文化財を生かした地域振興を後押しする新制度案を文部科学相に答申した。文化財保護行政の所管を現在の教育委員会から首長部局に移管できる内容も盛り込まれた。白河市は文化財の保護と活用を両輪と捉え、5年前から文化財課を首長部局の建設部に移している。移管によって生じる可能性があるさまざまな懸念を払拭[ふっしょく]するため、「白河方式」の今後に注目したい。
 鈴木和夫白河市長は「歴史・伝統・文化を活かしたまちづくり」を中心施策に掲げる。市は地方自治法の特例を用いて、2012(平成24)年度に県内で初めて文化財保護を担当する文化財課を教育委員会から建設部に移した。現在、6人の学芸員が在籍し、建設部のまちづくり推進課や都市計画課職員とデスクを並べる。文化財課職員がまちづくりを考え、都市計画課職員が文化財保護に思いをはせる。2017年度には文化振興課も教育委員会から企画政策課や秘書広報課がある市長公室に移管した。
 先進的な取り組みもあり、鈴木市長は国の文化審議会の「地方文化財行政に関する特別部会」委員を務め、文化財行政の現状と課題について意見を求められた。文化財保護の事務について、首長部局でも担当できる制度の改正に賛成し、事務の所管の判断を地方に任せるよう求めた。法令による明確化も要望した。
 地域の歴史や文化、伝統行事など、身近にある宝に光を当てることで、活性化を図ることは多くの市町村が望んでいるだろう。少子高齢化や過疎に悩む小規模の町や村ならなおさらだ。地域に活気やにぎわいをもたらすことにもつながる。だが、明確なビジョンもなく移管を急いでならないのは明白だ。文化財保護には歴史学や考古学などの専門知識を持つ学芸員が必要となる。一つの市町村で採用が難しければ広域連携を視野に入れることも求められる。県の支援も欠かせない。
 東日本大震災で白河市の国指定史跡・小峰城の石垣が崩落し、修復作業が行われている。「建設部文化財課」がリーダーシップを執り、築城当時の工法で再建に取り組む。2016年の熊本地震で損壊した熊本城の修復には小峰城復旧のノウハウが生かされている。両市の職員が相互に情報を交換しながら、大切な文化財保護に奔走している。
 文化財は保護あってこその活用となる。活用することで新たに財源が生まれるなら、それを保護に生かす。こうした循環を「白河方式」で実現してほしい。(古川雄二)

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