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【京都新聞】 交通事故死  「人優先」の意識持って

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 昨年中の交通事故死者数が過去最少となった。
 3694人。数字ではなく、一人一人の命の重みを思い浮かべたい。交通事故を減らしていく努力を、さらに続ける必要がある。
 なかでも、いかに歩行者を守っていくかが重要だ。当たり前かもしれないが、あらためて考えるべきことだ。
 「歩行中」の死者は、欧米に比べて断然、比率が高い。全体の3割超を占め、8年連続で「乗用中」を上回っている。2013年の統計だが、英国では2割弱、米国やドイツ、フランスは1割台にとどまる。
 道路事情などの違いはあるだろうが、総合的に分析してほしい。
 一昨年に出された第10次交通安全基本計画に、「人優先」が掲げられている。高齢者と子どもの事故の半分が歩行中だ。障害者も含めて交通弱者の安全策の推進を、基本計画はうたう。しかし、具体化しなければ意味がない。
 期待するのは「ゾーン30」の広がりだ。住宅街などの区域を最高時速30キロに規制する。11年から京都、滋賀をはじめ全国3105カ所で整備されている。
 効果を調査したところ、歩行者と自転車の事故がほぼ2割、死亡事故は4割近くも減った。
 ただし、規制の路面表示に比べて、物理的に速度を抑制する段差などの設置はあまり進んでいない。財政の問題もあろうが、住民と行政で安全な地域づくりに知恵を絞ってほしい。
 ところで、運転者の意識はどうだろう。信号のない横断歩道を渡ろうとしても、9割以上の車が一時停止しない。日本自動車連盟(JAF)による調査だ。
 道交法38条に違反し、反則金や違反点数が科せられるが、よく見かける光景ではないか。運転中や信号待ち中にスマートフォンを3人に1人が使用、との調査もある。事故を引き起こしかねないことを肝に銘じておくべきだ。
 1970年に交通事故死者数は1万6765人と最悪を記録した。 「交通戦争」と呼ばれた中で、ガードレールの設置や交通警察官の増員、法規制の強化などで事故を減らしてきた。
 しかし、ここ数年の減少幅は小さくなっている。基本計画は2020年の死者を2500人以下にする目標を掲げた。自動運転など先端技術の導入、高齢者対策など、多角的に手を打つ必要がある。
 その中でも、「人優先」を忘れてはならない。

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