Home > 社説 > 地方紙 > 北陸地方 > 富山新聞(富山県) > 【富山新聞】 優良無花粉スギ 水耕栽培を大量生産の力に
E160-TOYAMA

【富山新聞】 優良無花粉スギ 水耕栽培を大量生産の力に

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 富山県森林研究所は、優良無花粉スギ「立山森の輝き」の苗木の水耕栽培技術を確立し、スギの生育に適した中山間地だけでなく、沿岸地域の水田でも順調に生育させることが可能になった。無花粉スギは、昨年春、魚津市を中心に開催された全国植樹祭で、天皇陛下がお手植えをされたことで注目度が高まり、各地から栽培の問い合わせが県に寄せられている。県が増産体制の整備を進める中で、広域栽培による大量生産の可能性を広げる技術の確立は、頼もしい限りである。
 優良無花粉スギは、県が花粉症対策として開発し、2008年に種子から苗を大量生産する技術を確立した。昨年の植樹祭では、入場ゲートに無花粉スギの苗木を並べ、開発の歴史や雪害に強いといった特徴を解説するコーナーも設け、関心を集めた。
 新年にあたって先に宮内庁から発表された陛下のお歌の一首にも「無花粉のたてやますぎを植ゑにけり患ふ人のなきを願ひて」と植樹祭に臨席された時のお気持ちを詠まれている。お歌から伝わる陛下の温かい心遣いは、富山発の「花粉症対策の救世主」として、無花粉スギの発信に専心してきた県内関係者にとって、何よりの励ましになるに違いない。
 県森林研究所による水耕栽培の実証実験は、水の豊富な環境を好むスギの特性に着目して休耕田で行われ、従来のハウス栽培より成長速度が速く、植え替えなども必要ないため、作業時間の短縮につながることが分かった。山岳地帯から水が急流を流れ下る富山の地理的特性もあって、上流域と下流域の水温差が小さく、沿岸地域でも中山間地と同程度の水量や肥料で育つことが分かり、県全域での生産も可能になったとしている。
 県では、現在の年間出荷量4万本に対して、2020年に10万本、26年に20万本、27年に30万本をめざし、植栽面積を現行の42ヘクタールから460ヘクタールにする目標を掲げているが、栽培可能エリアの拡大は追い風になるだろう。県では新年度、生産コストや利益率を検証するというが、無花粉スギの普及の基盤づくりという意味で、県内への定着度を高めていきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。