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【山陽新聞】 改憲への動き 「期限ありき」に陥るな

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 今年、最大の政治課題とも言えるのが憲法改正問題である。自民党を中心にいよいよ動きが具体化する見通しで、5月に施行71年となる憲法が岐路に立つ年となりそうだ。
 昨年の衆院選で与党が大勝し、野党も含めた改憲勢力は改憲案の発議に必要な3分の2を衆参両院で引き続き維持した。この状況が続く来年の参院選までの発議を実現させようと、自民党が論議を加速させていく。そんな構図となっている。
 自民党憲法改正推進本部は2月にも改憲案をまとめ、衆参両院の憲法審査会に示す段取りを描く。ここまでの論点整理では、9条への自衛隊明記▽教育の充実▽緊急事態条項創設▽参院選の「合区」解消―の4項目が挙がった。
 9条は、戦争放棄を定めた1項、戦力不保持などを定めた2項を維持し、その上で自衛隊の存在を明記する安倍晋三首相案と、2項を削除して自衛隊の目的などを明確化する案が挙がっている。
 両論併記としたのは、2012年の党改憲草案通り、2項を削除する案に党内の一定の支持があるためだ。亀裂回避を優先させた格好となり、焦点の9条に関して、いまだに党内の意見集約に至っていない実情が見てとれる。
 与党の公明党は今後、自民党が示した4項目への対処方針を巡って議論に入る。党は新しい条項を加える「加憲」の立場だが、改憲への慎重論も根強くある。
 野党は温度差が際立っている。希望の党、日本維新の会が改憲に前向きな一方、9条の改正には野党第1党の立憲民主党や民進党が反対し、共産、自由、社民各党は改憲自体に反対している。
 改憲の是非を最終的に判断する国民の世論も割れている。日本世論調査会の先月の調査では、改憲が「必要」「どちらかといえば必要」が計54・9%に対し、「どちらかといえば必要ない」「必要ない」は計38・3%だった。一方、安倍首相の下での改憲となると、賛成39・2%、反対53・1%と逆の結果が出た。
 「20年を新憲法施行の年に」など前のめり気味の首相への警戒感の表れともとれる。首相は先日の年頭会見でも年内の国会発議に意欲を示した。
 改憲に踏み出すとなれば、賛成議員数が足りているというだけでなく、党派を超えた合意を形成し、国民投票も過半数ぎりぎりといった状況ではない幅広い理解を得ることが望まれる。改憲勢力が多数の間に、あるいは首相の任期中に、という「期限ありき」に陥ってはならない。
 今の憲法に内外の情勢にそぐわなくなった部分があるのか。すぐに変える必要があるのか。であればどう改めるべきか。与野党が正面から論じ合い、判断材料を国民に示すことが欠かせない。

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