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【沖縄タイムス】 [「成人の日」を前に]足元の歴史学び直そう

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 離島県沖縄の成人式は多様である。県によると、21市町村が「成人の日」前日の7日に成人式を開くが、離島では、正月休みに合わせて式典を開く自治体も少なくない。
 進学や就職のため島を離れた若者がこの時期、里帰りするからだ。
 伊是名村では元日の1日、「一足早い成人式」が開かれ、24人が島の人びとから祝福を受けた。新成人代表としてあいさつした仲田蓮さんの言葉は、旅立つ若者の期待と不安をよく伝えている。
 「私たちは15歳で親元を離れ、慣れない土地での生活を経験し、島の方々の温かさや両親のありがたさを身をもって実感した」
 名護市の1月の風物詩となった新成人による銭ケ森(ジンガムイ)の光文字は、7日に点灯するはずである。
 1998年の光文字は「和」だった。米軍普天間飛行場の移設問題で市民同士の対立が深まっていたころだ。「和」という言葉には、地域で生まれ育った若者の、地域を思う心情が込められている。
 今年の県内の新成人は1万6482人。1997年4月2日から98年4月1日に生まれた人たちである。先輩たちが「和」の光文字を掲げたその時期に生まれた世代だ。
 現代の沖縄を時代区分するとき、「戦前と戦後」「復帰前と復帰後」という分け方が日常生活でもごく普通に使われる。最近では「普天間合意前と合意後」という新たな区分も見られるようになった。
 「普天間合意後」の新世代が成人を迎える時代になったのである。
 
 昨年12月、読谷村の新成人10人が、沖縄戦で「集団自決(強制集団死)」が起きた字波平のチビチリガマを訪ね、戦争の実相に触れた。
 少年らによる損壊事件の発生を受け、新成人を対象に初めて企画されたという。
 沖縄歴史教育研究会などが県内高校生を対象に、戦後70年に合わせて実施した平和教育に関するアンケートによると、「身近に沖縄戦について話してくれる人はいますか」との問いに対し、「いない」が「いる」を上回った。
 新成人にとって沖縄戦も戦後の米軍政も、明瞭なイメージを結ばない歴史のかなたの出来事になりつつある。体験世代との意識のずれは広がる一方だ。
 さまざまな格差問題に直面する沖縄の若者にとって最大の関心事は将来の就職口である。スマホで育った彼ら彼女たちの問題意識がどこにあるかを知らなければ世代間の溝を埋めることはできない。
 
 住んでいる地域に愛着と誇りを感じるようになるためには、生き生きとしたコミュニティーを作る必要がある。
 その際、欠かせないのは、古い世代の経験知と若者の行動力である。現場で引っ張っていくのは若者であり、若者に活躍の場を準備するのは上の世代の役割である。
 新成人には、判断を停止して時流に押し流されるのではなく、自分で考え、体験者の声を聞き、地域づくりに主体的にかかわってほしい。どのような時代であれ歴史を切り開いてきたのは若者である。

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