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【信濃毎日新聞】 空母保有検討 なし崩しは許されない

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 自衛隊の装備増強へ政府が前のめりの姿勢を強めている。
 戦闘機の発着が可能な空母の保有について検討に入った。「専守防衛」の基本方針からますます懸け離れる。なし崩しに進めてはならない。
 海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」を改修する。全長248メートル、最大幅38メートルで、艦首から艦尾まで甲板が貫く「空母型」だ。ヘリコプター14機を搭載でき、5機が同時に発着できる。昨年5月には安全保障関連法に基づき、初の米艦防護の任務に参加した。
 艦首を戦闘機が発艦しやすいように改修したり、甲板を耐熱塗装したりする。艦載機は、短距離で離陸できるF35B戦闘機を想定している。オスプレイのように垂直着陸でき、レーダーに捕捉されにくいステルス性を備える。
 政府はこれまで攻撃型空母の保有は許されないとしてきた。自衛隊は、自衛のための必要最小限度の実力組織であり、装備も必要最小限度とするのが「専守防衛」の考え方だ。攻撃型空母はこの範囲を超えるとの判断である。
 保有に向け、政府は中国の海洋進出への対処を前面に押し出してくる可能性がある。「離島防衛のため」といった説明だ。攻撃型ではなく、防御型の空母と主張することで従来の見解とつじつまを合わせようとするのではないか。
 どう理屈を付けようと、他国の領土を攻撃できる装備であることに変わりはない。運用次第で憲法の枠を逸脱する。
 安保法で自衛隊の活動は大きく広がった。憲法上認められないとされてきた集団的自衛権の行使が可能になっている。政府は敵基地攻撃能力につながる長距離巡航ミサイル導入に向けた経費も予算案に計上した。「必要最小限度」が歯止めなく拡大しかねない。
 安倍晋三首相は年頭記者会見で北朝鮮情勢に触れ「わが国を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しいと言っても過言ではない」と指摘した。その上で「従来の延長線上でなく、国民を守るため真に必要な防衛力強化に取り組む」と述べている。
 政府は今年、防衛力整備の指針である「防衛計画の大綱」を見直す。防衛費は年々、増え続けている。新たな防衛大綱でさらに装備増強が進み、自衛隊が変質していく恐れがある。首相の言う「真に必要な防衛力」とは何か、通常国会で問わなくてはならない。 (1月7日)

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