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【岩手日報】 南北対話 真の雪解けにつなげよ

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 韓国と北朝鮮の対話が実現することになった。きっかけは、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の新年の演説。2月に韓国で開かれる平昌冬季五輪への代表団派遣と南北関係改善に言及した。
 一方で、米国に対して「核のボタンは常に机上にある」とも述べ、核・ミサイル開発を放棄する考えのないことを改めて強調した。
 この演説の狙いはどこにあるのか。まずは、国際社会による経済制裁が効いているということだろう。
 国連安全保障理事会は昨年末、北朝鮮へ輸出する石油精製品の9割削減など、さらに厳しい制裁決議を全会一致で採択した。北朝鮮としては厳しい包囲網になんとか風穴を開けたい。
 その手段の一つが、韓国と米国に対して硬軟二つの顔を使い分け、両国関係をゆさぶることだ。北朝鮮はさらに、板門店(パンムンジョム)の南北直通電話回線による連絡チャンネルを約2年ぶりに再開させた。
 北朝鮮に対話を呼びかけていた韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領にすれば、この「心変わり」は渡りに船。即座に歓迎の意を表明し、高官級の南北会談開催を表明した。
 両国が会談開催で合意した9日は、五輪開幕のちょうど1カ月前に当たる。韓国としては大会を平和裏に成功させることが最大の課題だ。
 1988年のソウル五輪の前年、北朝鮮は大韓航空機爆破事件を起こし、多くの命を奪った。五輪開催を妨害するのが目的だった。北朝鮮が参加すれば、そうしたリスクは減る。「歓迎」にはそんな意味もあろう。
 米韓両国が定例の合同軍事演習を、五輪閉幕後まで延期したのもその一環。大会の安全確保を目指すことで両国首脳が一致した。北朝鮮が五輪に参加する可能性が一段と高まった。
 とはいえ、北朝鮮の狙いが南北関係改善だけで終わらないことは確かだ。韓国メディアも南北会談を歓迎する一方で、韓米関係と国際社会に亀裂を招くことへの警戒感を隠さない。
 新たなミサイル発射を準備していると伝えられるのも、威嚇によって会談を有利に運ぼうという思惑があるのかもしれない。
 北朝鮮に向かい合う国際社会が求めているのは、あくまで朝鮮半島の非核化だ。韓国がこの原則を踏み外すとは思わないが、日米との連携を崩さず、慎重に会談に臨むよう求めたい。
 会談は南北の「雪解け」の始まりにも見える。しかし、北朝鮮が核・ミサイル開発を中断するなど、緊張緩和のための具体的な行動に踏み込まなければ、本当の雪解けにはならない。
 

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