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【中日新聞】 伝えたいものがある 成人の日に考える

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 新成人、おめでとうございます。すでに選挙権を持つ皆さんには、実感が薄いのかもしれないけれど−。ところで皆さん、今伝えたいもの、ありますか。
 名古屋市守山区の金城学院大。女子大です。その授業を教室の片隅で聴講する機会がありました。「環境ビジネス論」という講座です。
 前の年の授業を受けた先輩が、その成果を踏まえ、後輩に講義する「先輩授業」。教壇に立ったのは、棚橋千怜(ちさと)さん、そして森美優(みゆ)さん。ともに国際情報学部グローバルスタディーズコースの四年生。この春社会人になる二人です。
 ゼミの卒業制作という映像番組を見てもらい、グループ討議のあと、作品のテーマについて意見発表−。このような手順で授業は進められました=写真。
 ビデオのテーマは、福島の原発事故。「故郷をもとめて〜原発事故から7年、女子大生が視(み)た福島」というタイトルです。「故郷」は「いばしょ」と読ませます。
 「フクシマがテレビのニュースから消えていく。何も終わっていないのに。なぜだろう」
 制作は素朴な「なぜ」から始まりました。
 「ならば、自分たちの目と耳で確かめよう」と。
 制作期間は一昨年の九月から昨年の十二月。自らの足で現地を歩いて被災者や被災者を支援する人々に会い、直接話を聞きました。
 愛知県のボランティアグループが招く「福島っ子キャンプ」にも参加して、子どもたちの声や表情も記録しました。
 現場を歩いて、見て、聞いて、いろんなことを知りました。知れば知るほど、誰かに伝えたくなりました。
 映像は語ります。
 <原子力発電、賛成か、反対か。有益か、有害か。あってはならないのか、なくてはならないのか。その答えを一つ出すことは、さまざまな立場と肩書、そしてその土地への思いが複雑に交差している今、まだまだ時間のかかることである−>
 結論は、見る側に委ねます。
 <さまざまな場所でさまざまな人が今も戦っていることを、私たちは忘れてはならない。そして私たちはこの番組をつくり、風化させないことで戦う人でありたい>
 こんな結びのナレーションが、強く印象に残る作品でした。 考えることをやめない
 授業の最後に二人は強く訴えました。
 「やっぱり簡単に結論を出すことはできないんですよ。でも考えることはできるんです。原発だけでなく、少子高齢化の問題とか、自分たちの将来についてこうあった方がいいんじゃないかとか、考えることは、やめないでほしいと願っています」(棚橋さん)
 「私自身もなにも知らない状態から始まった。でもここまで考えられるようになりました。これを機に皆さんにも関心を持ってほしいし、周りの人に、あなたもちょっと新聞とか見てみたらって、思えるようになってほしい」(森さん)
 受講した後輩からは、こんな感想が寄せられました。
 「まずは原発のリスクや知識を人ごととは思わずたくわえて、被害に遭ったらどうなるのだろうと、当事者の気持ちになって考えてみようと思います」
 先輩たちの言葉も映像も、同世代の心と体に、すんなりと受け止められたようでした。
 大学生の皆さんに触発されて、私たちも考えました。
 例えば、大人になるということは、二刀流の大谷翔平選手じゃないですが、打つだけではなく投げる人、教えられるだけでなく、考えて、伝える人にもなれることではないのかと。 次世代の未来のことも
 大人とは、当事者になれる人、今日だけではなく明日のこと、自分のことと同じくらいに次世代の未来について考えることのできる人ではないのかと。
 新成人の皆さんにも今日を機に、伝えたいものを探してほしい。伝えたいものがある人は、伝える場所を見つけてほしい。
 私たちも毎日毎日、伝えたいもの、伝えるべきもの、伝えなければならないものを探しています。
 皆さんが私たちの紙面の中から、そのきっかけを見つけることができるよう。  

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