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【河北新報】 成人年齢引き下げ/若者の自立支える仕組みを

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 きょうは成人の日。新成人は大人の自覚を胸にそれぞれの一歩を踏み出してほしい。
 中学生で東日本大震災を体験し、貧困やいじめなど厳しい現実に接し育った先頭世代だろう。そんな若者らの自立を社会の側が性急に求めてはいまいか。
 政府は民法の成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる改正案を22日召集予定の通常国会に提出する見通しだ。
 関連する消費者契約法などを含め計25法案を審議。成立すれば3年程度の周知を経て2022年の施行を目指す。
 昨年から提案が先延ばしされてきた重要法案だ。国会での徹底した論議を求めたい。
 18歳成人を巡って懸念されていたのは、消費者被害の拡大だった。成人になると親の同意なしにローン契約の締結などが可能になる。18、19歳が悪徳業者の標的にされる可能性が高いと、日本弁護士連合会などが強く指摘した。
 政府は消費者契約法を改正し、合理的な判断ができない時に結んだ契約は成人でも取り消せる規定を盛り込む。
 合理性が問われるのはどんな場合なのか。新成人が不当契約から免れる安全網になり得るのか不透明さは否めない。具体論を深めてほしい。
 消費者トラブルは懸念材料の一例にすぎない。肝心なのは、未成熟で判断力も不十分な18、19歳の保護と支援にどう向き合うかだろう。
 改正案は婚姻年齢を男女とも18歳以上に統一し、親の同意は不要になる。一方で飲酒・喫煙、公営ギャンブルは「20歳未満」禁止の現行年齢を維持するという。
 健康や依存症リスクを考えれば、当然と言える。事柄によっては、18歳を大人と子どもの分岐点に定められないのが現実であろう。
 政治意識を高めるための18歳選挙権がいち早く実現したからと言って、この時期に一律の18歳成人を急ぐ理由は見つからない。腰を据えた国民的な議論が必要ではないか。
 その最たるものは少年法の適用年齢だ。金田勝年前法相は昨年、20歳未満を18歳未満に引き下げるかどうか法制審議会に諮問した。
 法改正されれば18、19歳は保護観察や少年院送致など更生のための措置が受けられなくなる。同法は処罰ではなく立ち直りに重きを置く。引き下げは一連の流れとはいえ、慎重に扱うべき課題だ。
 法制審は09年、「将来を担う若年者に積極的な役割を果たしてほしい」として、民法の成人年齢引き下げを答申した。そこが起点だった。
 少子化は進み、若者の将来負担は重くなる一方だ。不安は自立を妨げる。若者が働く意欲を見いだし、家族と安心して暮らす希望の未来を描ける社会に変えていきたい。
 単に成人年齢を下げるだけでは国民の理解は得られまい。社会全体で若者の自立を支えていく仕組みをつくるのが先決ではないか。

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