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【高知新聞】 【南北対話】見極めたい北朝鮮の狙い

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 国際社会に背を向けてきた若き指導者が、新年を機に姿勢を改めたというのだろうか。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が南北関係の改善に意欲を示している。
 板門店(パンムンジョム)の南北直通電話回線を約2年ぶりに再開した。平昌(ピョンチャン)冬季五輪・パラリンピックへの北朝鮮代表団の参加を話し合う南北高官級会談の開催にも同意した。
 金指導部は国連の決議や経済制裁なども無視し、核・ミサイル開発を続けている。融和的な姿勢を取る韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領にも非難を繰り返してきた。
 純粋に対話に前向きになったのであれば歓迎すべきことだ。朝鮮半島問題の平和的解決は南北対話が基本である。双方の関係改善は、緊迫する米朝間や懸案を抱える日朝間の対話にもつながるだろう。
 だが、北朝鮮は過去を振り返っても、「瀬戸際外交」や米韓の同盟関係を揺さぶる行為を繰り返してきた。急な「軟化」の意図を勘繰らざるを得ない。
 制裁の強化が国内経済に大きな影響を及ぼしているとの見方もある。五輪が政治の駆け引きの道具にされることがあってはならない。
 北朝鮮の動きを慎重に見極めながら対応する必要がある。日米も韓国と十分に連携したい。
 変化が表れたのは元旦からだ。金委員長は「新年の辞」で、五輪への代表団派遣の用意があるとした。
 文大統領は歓迎し、翌日には閣議で受け入れ準備を指示した。南北当局者の会談も韓国統一省が提案していた。
 北朝鮮は、韓国初の五輪となった1988年のソウル大会には不参加だった。韓国にとって平昌大会への北朝鮮参加は悲願といってよい。
 問題は、金委員長は「新年の辞」で米国には徹底抗戦の構えを崩していないことだ。
 昨年の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験などに触れ、米本土の全域が核攻撃の圏内に入っていることを強調した。核のボタンが自身の「机上に常に置かれている」と述べ、一層の核兵器の量産や配備も指示した。
 韓国への姿勢とは対照的で、米韓関係を乱そうとする思惑があるとも受け取れる。米韓は冷静な対応が求められる。
 トランプ米大統領は金委員長の発言を受け「私の核のボタンの方がずっと大きく強力」とツイッターに投稿した。まさに売り言葉に買い言葉で、緊張を一層高めかねない。
 北朝鮮のもくろみや新たなミサイル発射実験への警戒は怠れないが、行き詰まっていた対話を進める機会であることも確かだ。
 制裁や軍事的な圧力一辺倒では限界がある。米韓は、定例の合同軍事演習を3月の平昌パラリンピック閉幕後まで延期する方針を決めた。賢明な対応であろう。
 対話の環境づくりへ国際社会も協力していきたい。日本が果たす役割や責任も大きい。
 

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