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【福島民報】 【待機児童対策】現場の声に耳澄ませて

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 県内最多の待機児童数に悩む福島市が官民合同の対策推進会議を先月末に設立した。保育士の処遇改善などの緊急対策をまとめ、今月の市議会緊急会議に関連予算案を提出する。待機児童問題は全国はもちろん、県内の他自治体にとっても解決が急がれる重要案件だ。福島市の取り組みの推移を注視したい。
 待機児童問題の背景には保育士不足がある。厚生労働省によると、2016(平成28)年10月時点での保育士は全国で約51万8千人。待機児童解消のためには2020年度末までに、約32万人分の受け皿となる保育士約7万7千人が必要となる見込みだが、実現性は見通せていない。
 福島市では昨年10月1日時点で、認可保育所に入所できていない子どもは667人に上った。一方で同12月1日時点の公立保育所13カ所の定員(970人)に対する充足率は90・8%にとどまっている。定員に余裕はあるが、保育士が確保できずに定員まで子どもを受け入れられない実情が浮かび上がる。早急に改善すべきだ。
 2016年の調査によると、全産業の平均月収30万4千円に対し、保育士は同21万5800円だった。政府は低賃金が要因とみて、昨春から全保育士の給与を一律2%(月約6千円)引き上げた。来年4月からは、さらに1%(月約3千円)引き上げる方針だ。問題の深刻さは国会質問で取り上げられる以前から指摘されていた。遅きに失したと言わざるを得ない。
 すでに首都圏では保育士の争奪戦が始まっている。東京都が独自の給与上乗せ策を実施し、千葉県が追随した。同県内の加算額は各市町が決めるため、人材確保に向けた自治体間の競争が過熱している。本県も対岸の火事と静観している状況にはない。
 昨年4月から企業主導型保育所という制度が始まった。企業が事業所内などに設置する保育所に、認可保育所並みの助成金がもらえる。県内でも設置が進む。政府は従業員の子ども以外が利用できる定員枠の上限をなくす方針を固めている。公的保育所の整備、運営の両面で負担軽減につながるのではないか。
 福島市の推進会議では委員から、ワークライフバランスに配慮した保育士の「働き方改革」の必要性の他、出生率が上がらない中でいつ定員割れになるか分からないという不安の声も上がった。いずれも考えさせられる。政策の遂行に当たっては、現場の声を丁寧にすくい上げる作業が欠かせない。(浦山文夫)

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