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【京都新聞】 「自動運転」実験  課題を開発につなげよ

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 自動運転の車が公道を走行する実証実験が各地で始まっている。
 東近江市では昨秋、国土交通省が、公共交通機関の乏しい中山間地域の移動手段としての導入を検討するため、国道など往復約4・6キロで自動運転バスを走らせた。
 免許を返納した高齢者の移動や物流網の確保策として、自動運転車は注目されている。しかし、実証実験では技術やインフラ整備などの課題も浮き彫りになった。
 実験結果を検証し、課題が克服できるよう開発に努めてほしい。
 安倍晋三首相は「2020年の東京五輪・パラリンピックで、自動運転の車が走行する」と繰り返し述べ、人が運転に関与しない完全自動運転の実現に向けた環境整備を政府主導で進めている。
 実証実験は3月末までに東近江市のほか全国13カ所で行われ、20年までに過疎地での自動運転車の実用化を目指す計画だ。東京都や名古屋市では「無人タクシー」に関する実験も始まった。
 東近江市の実証実験では、住民や公募のモニターを乗せた自動運転のバスが1日5~7往復した。緊急時に対処するため運転手も乗車したが、ハンドルの下に手を添えているだけ。高精度の衛星利用測位システム(GPS)と、道路に埋設した磁気マーカーの情報をもとに、あらかじめプログラムされたルートを時速15~25キロで走行した。道の駅の直売所で販売する弁当や農産物も搬送した。
 ただ、センサーが雨を障害物と誤検知したり、降雨などでGPSの受信感度が低下して車両が止まることもあったという。狭い道路で対向車を回避するのに必要なとっさの状況判断や複雑な走行は、まだ実証段階にも至っていない。
 法的な問題もある。人通りの少ない山中でバスが立ち往生した際の救援体制や、事故が起きた場合の責任の所在だ。
 法整備が進めば、東京五輪で海外観光客にアピールできる無人タクシーを走らせたり、高速道路の本線走行中に自動運転に切り替える半自動運転は実現しそうだ。
 一方、中山間地での磁気マーカー埋設などインフラ整備には多額のコストがかかりそうだ。単に車を動かす技術を進めるだけでは実用化につながらない。
 並行して考えてほしいことがある。運転手の脇見や居眠り、突然の意識障害などによる事故を防ぐため、自動運転に向けて開発された技術を使えないだろうか。自動運転実現の前に、安全運転支援サービスの実用化も急いでほしい。

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