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【岩手日報】 五輪の県産品活用 「復興」の先も見据えて

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 2年後に迫る東京五輪・パラ五輪に、岩手の農林水産物を提供しよう。そんな動きが活発化している。
 五輪選手村では、岩手の木材の利用が決まった。選手らが交流する村の中心施設「ビレッジプラザ」の一棟に県産材が使われる。
 木造のプラザには歓迎式典場やメディアセンター、カフェなどが入る。大会後、各地に五輪の遺産を残そうと全国から木材を募り、本県が提供自治体の一つになった。宮古市も選ばれている。
 今回の東京五輪は「復興五輪」と位置付けられる。提供する木材はわずかでも、世界の人々の目に触れる。東日本大震災の惨禍から立ち上がる岩手の象徴になろう。
 県内の林業・木材業界では五輪を視野に、世界的な森林認証「FSC」取得に取り組む機運が高まった。来年のラグビーワールドカップ(W杯)でも、釜石の会場に県産材が使われる計画がある。
 五輪やW杯は、震災からの復興を世界に発信する貴重な機会だ。それを生かすのはもちろんだが、一過性のものにしてはならない。
 復興途上の被災地はまちづくりを終えた後も、人口減という難題と向き合う。持続可能な地域にしていくために、産業としての林業は大きな可能性を秘める。
 県産材が五輪やW杯で注目を浴びるのを機に、さらなる利用拡大につなげたい。先を見据えて人材を育て、再造林を中心に林業を活性化させていく必要がある。
 五輪での県産品活用は、選手村などで出される食材も焦点だ。関係者、観客らを含め1500万食に上る食材提供のため、県などが農業者を後押ししている。
 提供には、農業の生産工程を管理するGAP(ギャップ)の認証が欠かせない。国際版、日本版に加えて、都道府県版のGAPでも要件を満たせば採用される。
 県内の認証は少なかったが、五輪を視野に県版GAPを取得する農場が出てきた。県の米「金色(こんじき)の風」のブランドを高めようと、取得を目指す生産者の動きもある。
 同じ被災地の宮城、福島県は具体的な取得目標を掲げて農業者をサポートしている。銀行が認証取得を支える県もあり、岩手も行政と関係機関、金融が手を携えて五輪への食材供給を実らせたい。
 むろん認証取得や五輪がゴールではない。食の安全や環境保全に取り組むことで、いかに地域の農業や漁業を持続させていくか。そこに真の意義がある。
 「復興五輪」を被災地の情報発信イベントに終わらせず、岩手の農林水産業を再興させるきっかけにする。復興の先も見据えて取り組みたい。
 

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