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【読売新聞】 成人の日 新たな世界の扉を開けよう

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 成人の日だった8日、123万人が人生の新たな門出を迎えた。支えてくれた人たちへの感謝を胸に、大人になった自分に何ができるのか、思いを巡らせた人も多いだろう。
 新成人が生まれたのは1997年だ。山一証券が自主廃業するなど、銀行や証券会社の破綻が相次いだ。携帯電話が急速に普及した。国民の10人に1人がインターネットを利用し始めた頃でもある。
 ネットは今や、不可欠な社会基盤となった。LINEなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は、若者同士の連絡手段として定着している。
 確かに、SNSは手軽で便利な道具だ。犯罪に悪用されるなど、危険が潜むのは事実だが、それ以上に様々な可能性を秘めている。賢く上手に活用すれば、新たな世界が広がるだろう。
 仲間内の連絡にとどまらず、自分とは異なる立場や世代の人たちとの交流にも生かしたい。
 東京の山本昌子さん(24)は、児童養護施設で育った女性に無料で振り袖を貸し出す活動を2年前から続ける。自身、18歳まで施設で過ごした。高校卒業後に自立したものの、生活は苦しく、成人式にも出席できなかった。
 自暴自棄になったが、後日、先輩の援助によって振り袖姿の写真を撮影することができた。「大切に思ってくれる人に救われた」と、しみじみ振り返る。
 振り袖を着た時のうれしさを多くの人に味わってもらいたい、と今の活動を始めた。SNSやホームページで自らの生い立ちを発信し、振り袖の提供を呼びかけた。柔軟な発想で扉をこじ開けた。
 現在、協力者は80人を超えている。定期的に撮影会を開く。参加者の喜びの声を聞くと、自分の存在を実感するという。
 多摩美大4年生のハヤカワ五味さん(22)は3年前にアパレルメーカーを設立した。
 高校時代から自作のタイツがSNSで話題となった。SNSを駆使して人脈を広げ、従業員10人、年商数千万円の会社に発展させた。心ない中傷もあったが、めげずに挑み続けた。
 「人や社会とつながることで、まだ自分は成長できる」と感じている。「急いで将来を決めることはない」と、一般の学生と同様に、就職活動にも取り組んだ。
 失敗を恐れて、尻込みしていては、何も始まらない。まずは一歩踏み出すことが大切だ。
 若者の前向きな姿勢が、社会に活気をもたらす。

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