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【高知新聞】 【交通事故死者】気を緩めずゼロ目指そう

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 こういう記録更新なら社会全体で喜び合える。昨年1年間の全国の交通事故死者数が、統計が残る1948年以降で最も少なかったことが警察庁のまとめで分かった。
 前年より210人減って3694人だった。これまでは49年の3790人が最少で、記録更新は68年ぶりという。高知県内も同様に、52年以降で最少の29人だった。
 隔世の感がある。戦後、高度経済成長や自動車の普及に伴って、死亡事故の増加は社会問題になっていった。年間死者1万人超えが59年から連続17年続き、「交通戦争」という言葉が生まれた。
 対策強化で一時は8千人台まで減ったが、バブル景気で気が緩んだのだろうか。再び増加に転じ、「第2次交通戦争」に入り、1万人超えは88年から8年間続いた。
 最多の死者数は70年に記録した1万6765人。昨年の数はそのほぼ5分の1に当たる。
 しかも、これまで最少だった49年当時は自動車がまだ十分に普及しておらず、全国の保有台数は30万台だった。8千万台に達したいま、記録を更新した意味は大きい。
 警察をはじめ行政や民間団体の地道な取り組みなしには実現しなかっただろう。法改正などによる規制強化や交通安全教育の効果も大きかったはずだ。
 道路などハード面の整備が進んだことや、自動ブレーキの普及といった車の技術的進歩も挙げられる。何より、国民の意識が向上しなければ実現しなかった。
 私たちの社会は数字の上では大きな成果を収めたといえる。大切なことは、気を緩めず事故をなくす努力をさらに重ねることだ。
 昨年も痛ましい死亡事故が少なくなかった。数字には含まれない、発生から24時間を超えて死亡した事故も無視できない。
 警察庁によると、65歳以上の高齢者の死者は全体の54・7%に当たる2020人だった。高齢ドライバーによる事故も後を絶たない。
 高齢化は今後も進み、本県のような地方は先行している。交通安全の啓発はもちろん、運転免許証の自主返納や認知機能検査の強化などを続けたい。
 飲酒死亡事故も深刻だ。10年前の半分以下になったものの、それでも昨年201件発生している。
 昨年1月には、島根県で児童の登校を見守る活動をしていた男性が酒気帯び運転の車にはねられ、翌日、死亡した。男性は30年以上前に小学生だった次女を登校中の交通事故で失っていた。
 自動車だけではない。自転車が歩行者と衝突し、歩行者が死亡する例もある。先月、川崎市で起きた死亡事故では、大学生がスマートフォンを操作しながら運転していた。もちろん、街でよく見掛ける歩きながらのスマホ操作も危険だ。
 死亡事故のない社会を実現するには、まだまだ課題が多い。今後も官民一体の取り組みが欠かせない。

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