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【山陽新聞】 地方創生戦略 地域特性に合う仕組みに

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 政府は、2015年度にスタートした「地方創生」のための5カ年計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が3年目の折り返しとなったのを機に、数値目標の達成状況を総点検した。東京一極集中はむしろ拡大しており、地方の人口減少ストップを目指す安倍政権の看板政策の手詰まり感が鮮明になってきた。
 政府は総合戦略に基づき、年間1千億円規模の「地方創生推進交付金」や、東京から地方に本社機能などを移した企業の税を優遇する制度などを新設している。
 だが、数値目標の柱である地方から東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県)への転入超過を20年にゼロとする目標については、13年に9万7千人だった東京圏の転入超過が、16年には11万8千人へと逆に増えていた。
 東京の企業の地方移転や、地方に本社がある企業が雇用を増やした際の税の優遇は、5年間で7500件を目標としていたが、16年度までで約1400件にとどまっている。引き上げを目指した地方大学卒業生の地元就職率も悪化した。
 東京圏への転入超過は15~24歳が8割を占める。地方の若者が進学、就職で東京へ流入するからだ。地方への定着を促すには、地方大学の充実や地域に魅力ある就職先を増やす努力が求められよう。
 政府は点検結果に基づき、昨年暮れに総合戦略を見直した改定版を閣議決定した。地方大学の振興を目指した交付金を創設する。あわせて東京23区内で大学の定員増を原則認めない法案を通常国会に提出することを決めた。
 交付金は18年度に100億円規模で始める予定だ。地方の大学、自治体、企業が連携組織をつくり、地域を支える新しい産業創出や人材育成に取り組む際に、最大で1件当たり年間10億円を支援する。バイオ医薬品や介護ロボットの研究、開発といった分野での活用が想定されている。
 一方で、これまでの地方創生推進交付金の支給方法については、地方から不満の声も上がっている。交付金を得るには地方自治体が「地域再生計画」を作り、それを国が審査して決めるからだ。全国知事会の地方分権に関する研究会が昨年まとめた報告書は「ソフトな中央集権が進んでいる」と批判している。
 こうしたやり方だと、自治体は国のお眼鏡にかなうよう、似たり寄ったりの計画を作りがちな面は否めない。結果、地域の特性に合わない事業が行われ、成果が上がっていないとの指摘もある。
 民主党政権時代に国は、使途を細かく定めたひも付き補助金の一部を廃止し、自治体の判断で使い道を決められる「一括交付金」を設けたこともある。地方創生を前進させるためには、国はこうした事例も検証しながら、地域が実情に応じた取り組みを創意工夫し、実施できるような仕組みを考えてもらいたい。

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