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【信濃毎日新聞】 がんと仕事 これも「働き方改革」を

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 長期入院が必要とされてきたがんは、医療の進歩で治療しながら働き続けることが可能になっている。
 一方で、働くことを希望しながら離職せざるを得ない人も少なくない。
 どうすれば治療と仕事を両立できるのか。
 厚生労働省が今月、2千人超の患者と病院、企業を対象に初の大規模調査を始める。
 実態を十分把握し、患者の就労支援につなげてほしい。
 入通院中の患者には、治療の過程や内容のほか勤め先との関わり方、病院内の仕事専用スペースの必要性などを聞く。
 これらの患者が治療を受けている病院に対しては、治療中に仕事を続けてもよいかや両立支援策を調査する。
 さらに、取り組みが先行している企業約20社の両立支援内容も詳しく調べる。大手が中心になるとみられるが、支援が比較的難しい中小企業の実態も把握し、対策に生かしてもらいたい。
 国立がん研究センターの推計では、2013年にがんと診断された約86万人のうち20〜64歳の「働く世代」は25万人で、3分の1を占める。その数は7年前に比べ3万人以上増えている。
 一昨年、がん対策基本法が改正され、企業はがん患者の雇用継続に配慮するよう求められた。ただ、努力義務のため企業側に十分浸透していないようだ。
 治療と仕事が両立できる環境とは思わない人は6割を超える(昨年の内閣府調査)。がんと診断された後に3割余が離職したとの調査結果もある。
 離職すれば、収入が途絶え治療費も工面しにくいという悪循環に陥りかねない。社会とのつながりが切れ、精神的に厳しい状況に置かれることもある。
 治療を続け、病状に合わせて働くには、柔軟な勤務体系をつくることが求められる。短時間や在宅の勤務、傷病休暇などの制度をさらに広げなければならない。
 仕事が可能な場合、病院側の施設の充実も課題だ。
 今回の調査対象になっている患者の仕事専用スペース「サテライトオフィス」はまだ少ない。病院内で働いた場合の労働関連法の整備も必要になる。
 がんは2人に1人がかかるとされる。患者数が多いため特別の立法がなされている。
 難病を含め長期治療が必要な他の病気でも仕事との両立は大きな課題だ。ともに「働き方改革」の一環ととらえ、推し進めたい。 (1月9日)

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