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【京都新聞】 米核戦略見直し  世界に新たな危機招く

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 「力による平和」が世界を危険にさらしかねない。そんな懸念がますます強まるのではないか。
 トランプ米政権が来月にも発表する核戦略の中期指針「核体制の見直し」の概要が判明した。
 局地攻撃を想定した低爆発力の小型核の開発を検討するほか、核兵器の役割を拡大し、核攻撃の抑止・反撃に限定しない方針を盛り込む。さらに、基幹インフラへのサーバー攻撃に対しても核使用を排除しない方向だという。
 破局的な被害をもたらすことから「使えない兵器」ともいわれる核の先制使用も辞さない内容といえる。核の使用を、米国と同盟国の「死活的利益を守るための局限の状況」に限定したオバマ前政権の方針を大きく転換するものだ。
 ただ、核の刃を突きつけられれば、相手国も核武装を強化する。結果的に世界の核開発競争はさらに加速しかねない。トランプ政権は今回の見直しが新たな危機を招く可能性を直視してほしい。
 心配なのは、核使用への抵抗感が薄れることだ。爆発力を抑えた小型核の検討には非戦闘員の巻き添えを防ぐ狙いがあるとされる。被害が抑制されるといって、安易な使用を誘発しないだろうか。
 核弾頭と通常弾頭の両方を搭載できる核巡航ミサイルの新規開発も進めるというが、核攻撃と誤認されるリスクが指摘されている。一歩間違えば、偶発的な核戦争に発展することもありうる。
 危機をあおって核戦略を強化することが、逆に米国にとっての大きな脅威となりかねない。ここは強く意識しておくべきだろう。
 見直しは、昨年12月に公表されたトランプ政権初の安保政策「国家安全保障戦略」に基づく。この中では、米本土に届く核搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を急ぐ北朝鮮を「ならず者政権」として、警戒感を示している。
 見直しで核をちらつかせる強硬な姿勢を示すのは、北朝鮮を対話に引き出す意図があるとされる。
 だが、両国首脳は今年に入っても挑発的な主張を繰り返しており、折れる兆しは見いだせない。
 北朝鮮と海を隔てる日本にとっての懸念は、米国の核兵器が配備される可能性が否定できないことだ。「非核三原則」がある中、すでに、核搭載可能な米空軍の爆撃機と航空自衛隊機が共同訓練を行うなど、配備容認への地ならしともいえる動きもみられる。
 トランプ政権の核戦略に日本も巻き込まれる危険性は認識しておかねばならない。

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