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【秋田魁新報】 県内交通死減少 一層の事故防止対策を

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 昨年1年間に県内で起きた交通事故の死者数は、前年比24人減の30人だった。最多だった1970年(183人)に比べると6分の1以下で、車の台数が少なかった52年(27人)の水準まで戻したことになる。
 2016年に策定された県の第10次交通安全計画(16~20年)で目標に掲げた「年間死者数30人以下」は達成された。警察や自治体、関係団体、住民らの地道な活動が奏功した結果と言える。
 ただ、かけがえのない30人もの命が失われた事実は重い。さらなる事故減少に向けて、関係者には一層の取り組みを望みたい。
 重視すべきは、30人のうち67%に当たる20人が65歳以上の高齢者であるという点だ。16年も高齢者の死者は全体の6割を占めていた。第10次計画では「依然として高齢者の交通事故死者の割合が高い」として、高齢者の事故防止を最重要課題に挙げている。
 県警が昨年力を入れたのは、高齢者が巻き込まれることの多い歩行中の事故防止対策だ。歩行者がいるのに横断歩道で一時停止しないドライバーに対する取り締まり強化がその一つ。昨年1年間の摘発件数は実に前年の6倍を超える約千件に上り、一方で高齢歩行者の死者は16人から7人に減った。
 摘発件数が急増したのは、重大事故につながりかねないケースがそれだけ潜在していたことの裏返しでもある。歩行者を守るというドライバー側の意識の足りなさが浮き彫りになった形だ。
 16年6月に日本自動車連盟(JAF)が行ったインターネットによるアンケートで、「信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しない車が多い」と感じている人は全国で86・2%に上り、本県も81・9%と8割を超えていた。第10次計画が基本理念の一つに掲げる「人優先」の大切さを、いま一度胸に刻みたい。
 高齢ドライバーがより過失割合の大きい「第1当事者」になる事故が全国的に後を絶たないことにも注意が必要だ。
 昨年3月には75歳以上のドライバーを対象に運転免許証の更新時などに認知機能検査を強化する改正道交法が施行された。本県では65歳以上の免許証の自主返納が昨年1年間で3500件以上と過去最多になった。
 県や県内各市町村は、マイカーへの依存度が高い本県の地域事情を踏まえ、免許を返納しても安心して暮らせる公共交通の在り方について検討を急いでほしい。
 第10次計画は基本理念に「究極的には交通事故のない秋田県を目指す」ともうたう。自動車メーカー各社が自動ブレーキシステムの開発に力を入れるなど、車の安全性能は高まっている。官民挙げてさらに知恵を絞って政策を総動員し、事故ゼロに少しでも近づけたい。

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