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【岩手日報】 広がる性被害告発 「私たちも」痛みと共に

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 セクハラなどの性被害をSNSのツイッターで告発する「#Me Too(ミー・トゥー=私も)」キャンペーンが世界的に広がっている。
 きっかけは昨年、米ハリウッド映画界で発覚した大物プロデューサーによるセクハラ問題。被害を受けた女優らが連帯して声を上げ、映画監督や政治家が相次ぎ辞任や謝罪に追い込まれた。トランプ大統領も告発を受けている。
 米誌タイムが年末に発表した「今年の人」は、セクハラ被害を証言する運動に加わった「沈黙を破った人たち」。公然の秘密だった被害の実態を公にしたことが選考理由に挙げられた。
 告発のうねりは、日本にも波及している。痛みを抱えつつ「沈黙」してきた被害者にとって、どれほど心の支えになっていることだろう。
 「私たちも」傍観者ではいられない。「私も」と沈黙を破った女性たちと共にあることで、意識や社会の変革につなげたい。
 日本の「セクハラ元年」は1989(平成元)年。「不倫している」などと上司に中傷され、退職に追い込まれた元女性会社員が提訴し、大きな注目を集めた。その後、マタハラ、パワハラなども社会問題化していく。
 だが、この30年で対策が大きく前進したとは言い難い。各労働局に寄せられた相談は2014年度、セクハラ約1万1千件、マタハラ約4千件に上った。
 一方、労働政策研究・研修機構の調査によると、セクハラ被害女性の6割が泣き寝入り。ツイッターにあふれる膨大な告発は、表に現れているのが氷山の一角にすぎないことを物語っている。
 国内の年間出生数が100万人を割り込み、少子化や労働力の減少が深刻化する中、政府は待機児童対策に力を入れるが、それだけでは足りない。まずは告発の声を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。
 セクハラやマタハラを許さないという意識が徹底されない限り、安心して出産し、仕事と子育てを両立できる社会にはほど遠い。
 レイプなど性犯罪被害者の「沈黙」は極めて重い。恐怖の記憶が突如よみがえったり、人間不信に陥り孤立するなど心身への影響は深刻だ。
 勇気を振り絞って体験を公にした被害者や支援団体の粘り強い運動は、性犯罪を厳罰化する刑法改正に結実した。だが、被害者が抵抗することが著しく困難な暴行や脅迫がなければ、罪が適用されない仕組みは維持されるなど、積み残した課題も多い。
 米国では、被害者を支える基金の設立など、新たな動きが生まれた。日本も被害者の心情に寄り添った法制度の拡充などを実現したい。
 

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