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【紀伊民報】 新年を迎えて 紀南に生きる幸せ伝えたい

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 過疎・高齢化が進み、地域経済にも沈滞ムードが漂う。けれども私たちは取材を通じ、この地で毎日を生き生きと過ごす人たちに出会ってきた。その人の生き方が周りに影響し、地域を活気づける様子も目にしてきた。
 そうした人々の生き方を紹介しようと、1日付からシリーズ「紀南に生きる」を始めた。
 例えば、学校行事などで子どもたちを県内のいろいろな所に連れていってほしいと主張するみなべ町の岩本恵子さん(61)。彼女は多方面にわたってパワフルに動き、商店街を元気にする活動にも携わっている。それらの活動を通して、子どものうちから歴史や自然の豊かさを知り、地域に誇りを持ってもらいたいという気持ちが強くなったという。
 田辺市熊野ツーリズムビューローのプロモーション事業部長を務めるブラッド・トウルさん(42)は、自身が体感した「ありのままの熊野」が魅力だと強調する。重要なのは魅力づくりではなく、この地に既にある魅力を訪れた人にも体験してもらえる仕組みづくりともいう。そのためにもまず、地元の人たちに「当たり前」の中にある宝の値打ちに気付いてもらうことから始めた。
 Uターンしてその価値を再認識したというのは、田辺市中辺路町近露でカフェを営む中峯幸美さん(36)。「昔は都会に憧れていたけど、暮らしてみて、観光客にも教えられて、地域への思いが強まった」と笑顔で語る。
 総務省の住民基本台帳年齢階級別人口を基に計算すると、2017年1月1日時点の和歌山県の高齢化率は30・9%。なかでも古座川町は51・2%と、30市町村のうち唯一50%を超えた。
 地方の置かれている状況は厳しい。14年に日本創成会議が発表した「消滅可能性都市」には県内の7割を超す23市町村が挙げられていた。一方、同年の内閣官房による調査では、東京都に住む18〜69歳の1200人のうち、4割が地方への移住について肯定的に回答したという結果も出ている。
 地域が元気かどうかは、人口や若者が多いという「数字」だけで測れるものではない。豊かな自然とそこに息づく文化、歴史、人々の営み。この地には「数字」では表せない魅力がある。
 古座川町の山本隆寿さん(64)は、仲間と共にかつて生活道だった山道を歩き、観光資源によみがえらせようとしている。訪れた人だけでなく、地域の人も元気になるウオークツアーを目指す。
 「数字には表れない魅力」とは何か。それは、人と人とがどれだけ交わって暮らしているかではないか。元気な人も年老いた人も、男も女も、互いにつながり、点が線となり、線が面となって元気な地域が生まれる。そんな地域には、自然と人が集まってくる。
 私たちも地方紙の記者として、またこの地で暮らす者の一人として「紀南に生きる幸せ」を伝え、紙面を通して人と人とをつないでいきたい。
 (N)

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