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【読売新聞】 阪大入試ミス 問題作成に過信はなかったか

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 受験生の進路に重大な影響が及んだ。あってはならないミスである。
 大阪大学が昨年2月に実施した工学部や理学部など6学部の一般入試の物理で、出題と採点にミスがあった。本来なら合格していた30人を不合格にしていた。
 音波に関する問題で、正答が三つあるのに、一つのみを正解とした。この答えを基に数値を求める次の設問も成立しなくなった。100点満点で、それぞれ3点と4点が配点されていた。
 6学部の募集人員は計1774人だった。3815人が物理の試験を受けた。1点の重みを考えれば、深刻な過失である。
 阪大は、希望者には転入学を認める。他の大学や予備校に通う学生には、授業料などの補償や慰謝料も支払う。対象者がこれ以上の不利益を被らないよう、真摯(しんし)に対応することが求められる。
 理学部の教授ら10人が入試問題を作成した。一昨年4月から、十数回の検討を重ねて問題を作り、数段階のチェックも経たという。それだけの態勢を敷きながら、なぜミスを防げなかったのか。
 昨年6月、高校教諭との会合で複数の正答の可能性を指摘された。それにもかかわらず、阪大側は「一つだ」と譲らなかった。予備校講師からも8月に「誤りではないか」とのメールが届いたが、同様の返答だった。
 これらのやり取りは、問題作成責任者と副責任者だった2人の教授に任されていた。
 先月初めにも、外部から詳細なメールが寄せられた。阪大側は、別の教員4人を加えて検証し、ようやく誤りを認識した。遅きに失した対応である。
 早期にミスに気付けば、対象者の9月入学も可能だったろう。
 阪大は、責任者たちに思い込みがあった、と釈明している。
 外部からの再三の指摘に耳を貸さず、学内でも情報を共有しなかった。こうした姿勢は、過信の表れだと言わざるを得ない。
 大学としての甘い危機管理が招いた結果でもある。責任者らの処分は避けられまい。
 阪大は今後、大学全体で合格発表直前まで入試問題をチェックする措置を講じる。試験後に外部からの指摘に応じる出題検証委員会も新設する。再発防止のため、有効に機能させねばならない。
 大学入試センター試験が13~14日に行われ、受験シーズンが本番を迎える。態勢に不備がないかどうか、全ての大学が気を引き締めて再点検してもらいたい。

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