Home > 社説 > 地方紙 > 九州・沖縄地方 > 宮崎日日新聞(宮崎県) > 【宮崎日日新聞】 診療・介護報酬改定
E280-MIYAZAKI

【宮崎日日新聞】 診療・介護報酬改定

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

◆疲弊著しい現場の改善急げ◆
 今後の医療と介護の在り方は、超高齢社会となる2025年を視野に入れ、見直す必要がある。人口の多い「団塊の世代」全員が75歳を迎え、後期高齢者の仲間入りをする。国民の5人に1人だ。医療・介護費は激しい勢いで膨張し、国の財政を脅かす。限られた財源、人手、施設を効率的に運用することは喫緊の課題だ。 人件費プラスは妥当
 18年度予算編成で焦点の診療報酬と介護報酬の同時改定を巡る政府内調整が決着した。改定は診療報酬が2年ごと、介護報酬が3年ごと。6年に1度、時期が重なり、18年度の同時改定は「25年問題」に備える上で実質的に最後の機会となる。診療報酬は全体で0・9%減と決まった。薬価の大幅引き下げで費用抑制を図るものの、医師らの技術料や人件費に当たる「本体部分」は0・55%プラス。介護報酬も0・54%引き上げる。
 プラス改定は保険料上昇や自己負担増、税負担アップにつながるが、今回の報酬引き上げは妥当だろう。長年にわたる社会保障費の抑制策で、医療・介護の現場は疲弊が著しいからだ。特に介護分野は職員が低賃金にあえぎ、人手不足が常に問題となる。過労死と隣り合わせの病院勤務医の過酷な労働環境も改善が急がれる。
 サービスの質が低下したり、地域の病院や介護事業所の経営が傾く事態に陥ったりすれば地域住民は安心して暮らせない。ただし、改定に至る経緯が不透明だったのも事実だ。財政規律を重んじる財務省はいずれの報酬も大きく削減するよう主張。これに反発した医師会や介護団体の意向を受けて自民党が巻き返し、最終局面では首相官邸がプラス幅を積み増した。 回復期病床を増やせ
 昨年10月の衆院選で、票とカネの両面で自民党を支えた業界に対し、「恩に報いた」結果だという。随分と有権者をばかにした話だ。皆保険の維持に国民が負担している保険料も税も、政府や与党のポケットマネーではない。透明性を欠く改定率の決め方は今回限りにしてほしい。
 政府は今年1月から、個別の診療やサービスに対する報酬配分の議論を本格化させる。患者を「治す」だけでなく、日常を「支える」形の新しい仕組みへの転換が急がれる。大事なのは在宅でも必要なサービスをいつでも受けられる安心感だ。病院や介護施設に依存していては高齢者の増加に追いつけない。重症患者向け病床を思い切って減らし、リハビリを通じ在宅療養に戻れるよう回復期病床を増やす見直しが急務だ。
 最期を見守る「みとり」も在宅でというケースが多くなるだろう。今は7割以上が病院で亡くなるが、多死社会の到来で病床不足は必至だ。身近な「かかりつけ医」の役割が大きくなり、24時間態勢の訪問介護などとの密接な協力が欠かせない。医療と介護の役割分担と連携強化を併せて進め、制度の再構築を急ぐべきだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。