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【岩手日報】 日韓合意で新方針 「未来志向」を覆すのか

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 韓国は9日、従軍慰安婦に関する2015年の日韓合意について新たな方針を打ち出した。国内世論へのアピールは、結果的に政府間合意を軽んじることではないか。日韓関係の悪化は両国にとっての不幸と認識すべきだ。
 康京和(カンギョンファ)外相が発表した内容は、合意に基づき日本政府が拠出した10億円を韓国政府が「肩代わり」する措置。日本に返還すべきという一部元慰安婦らの主張を踏まえた。
 しかし、合意の事実は消えない。日本は交渉には応じない姿勢で一貫している。解決の行方は不透明なままだ。
 「両国間の公式合意」。康外相が語った通り、2国間の合意は簡単に覆せるものではない。今回も破棄や再交渉には踏み込まないとした。
 しかし、文在寅(ムンジェイン)大統領は政府作業部会の検証結果を受けて「手続き的にも内容的にも重大な欠陥がある」と表明。大統領選で訴えた再交渉という言葉こそ控えているが、前政権が結んだ合意への不満はくすぶらせたままだ。
 日韓合意は、当時の朴槿恵(パククネ)政権との間で結ばれた。日本が政府の責任を認めて韓国の財団に10億円を拠出し、韓国はソウルの日本大使館前にある慰安婦少女像の問題解決に努力するという内容。
 慰安婦問題に関して「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した歴史的な合意で、これによって両国は未来志向の関係に向けて歩み出したはずだった。
 しかし、少女像は撤去されるどころか、1年後には釜山の日本総領事館前にも設置された。日本は駐韓大使を一時帰国させ、両国関係は再び暗礁に乗り上げた。
 日本拠出の10億円を財源とした財団の事業は、合意時点で存命だった元慰安婦の7割以上が受け入れた。
 それを韓国政府が支出したお金に置き換えることで、日本が関与した印象を薄めようというのなら、小手先にすぎるのではないか。今回の措置は国内世論に応えることが目的のように見える。
 両国の間に不幸な時代があったことを否定するつもりはない。いまだに複雑な感情が残ることも承知している。だからといって、そのために国同士の合意をほごにすることは受け入れられない。
 同じ日、約2年ぶりの南北会談が行われたとはいえ、北朝鮮の核・ミサイル開発が依然、国際社会の脅威となっていることは変わらない。東アジアの安定を取り戻すために、日韓は緊密に連携していく必要がある。
 文政権は、歴史問題と北朝鮮問題を切り離す「ツートラック」(2路線)で対日外交に臨んでいるが、両国関係を冷やす選択でうまくいくとは思えない。
 

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