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【西日本新聞】 2棋士に栄誉賞 勝負の奥深さ謙虚に探求

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 誰もが納得する、文句なしの受賞決定だろう。
 将棋界初の永世七冠となった羽生善治さん(47)と、囲碁で初めて七冠独占を2度果たした井山裕太さん(28)に国民栄誉賞が贈られることが正式決定した。
 1977年の国民栄誉賞創設以来、囲碁、将棋界からの受賞はどちらも初という快挙である。
 2人とも優れた才能を、たゆまぬ努力で磨いてきた。七冠の一角である将棋の王位戦と囲碁の天元戦(いずれも西日本新聞社主催)の常連で、九州のファンにもなじみが深い。2人の栄誉を心から祝福したい。
 1985年にプロ入りした羽生さんは平成の将棋界を先導してきた。七つのタイトルを5期、10期と保持して手にできる永世七冠は、第一線に長く立ち続けて初めてなし得る前人未到の偉業である。
 井山さんは12歳のプロ入りから、次々と囲碁界の記録を塗り替えてきた。史上最年少の20歳で名人となり、2016年に初めて七冠を制した。その後、六冠に後退したものの、昨年10月に七冠へ復帰した。2度の七冠達成は、将棋界でも前例がない壮挙である。
 囲碁と将棋の世界は、まさに奥深い。天才と呼ばれる2人に共通するのは、それを知るがゆえの謙虚さとあくなき探求心である。
 人工知能(AI)を取り入れた研究が進み、囲碁も将棋も戦術が激変する時代に突入した。
 「盤上はテクノロジーの世界。日進月歩で進んでいる。常に最先端を探求する気持ちでいる」。永世七冠を達成した羽生さんは、こう語った。「打ちたい手を打つ」という信条を貫きつつ、AIを活用した手も見せる井山さんも、同じような考え方かもしれない。
 伝統を守りながら時代を切り開く柔軟な姿勢と思考は棋界にとどまらず、AIと人間の関係について私たちに示唆を与えてくれる。
 今年、羽生さんには公式戦通算1400勝、井山さんには七冠堅持と国際棋戦の優勝という目標がある。国民栄誉賞受賞を追い風に、さらなる活躍を期待したい。

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