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【茨城新聞】 南北会談合意 非核化導く戦略描け

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韓国と北朝鮮が約2年ぶりに閣僚級会談を開き、平昌冬季五輪パラリンピックに北朝鮮が参加することなどで合意した。北朝鮮の対話攻勢に韓国が取り込まれた形だが、北朝鮮は核・ミサイル開発のカードを温存したままであることを忘れてはならない。南北対話の復元を土台に、北朝鮮を非核化に導く戦略を描くことが必要だ。
韓国の文在寅大統領は合意も受けた年頭の記者会見で、北朝鮮も参加する平昌五輪が「南北関係改善と朝鮮半島の平和の転機としなければならない」と述べた。会談開催や五輪成功を終着点ではなく、朝鮮半島の緊張緩和や北朝鮮の非核化につなげるスタートとしなくてはならない。
そのためには、韓国が北朝鮮だけでなく、米国や日本にも顔を向け、政策調整を進めることが求められる。時間は限られている。パラリンピックが終了する3月18日までのこれから2カ月余りの期間が重要だ。
例年、2月末から始まる米韓合同軍時演習はパラリンピック後に延期された。北朝鮮に弾道ミサイル試射などを自制させつつ、日米韓は北朝鮮を非核化に誘導する具体的なシナリオを描かなくてはならない。中国、ロシアとの連携も必要だ。
韓国が日米と北朝鮮の間で板挟みになったまま、「平和の祭典」の期間中、つかの間の休戦を浪費するだけでは、緊張した局面と再び向き合うことになってしまう。北朝鮮に新たな弾道ミサイルや大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発、配備に時間を与えてしまうことにもなる。
韓国に対話攻勢を仕掛けた北朝鮮の狙いは明確だ。「同じ民族同士」という名目で韓国を抱き込み、米国の軍事的圧力からの盾として利用しつつ、制裁包囲網の抜け穴として、開城工業団地など韓国との経済協力を再起動させようとの思惑がある。
その意味で、今回の閣僚級会談でまとめられた合意に「多様な分野で接触と往来、交流と協力を活性化させ民族の和解と団結を図る」という項目が盛り込まれたことを注視する必要がある。
一見、原則論を述べたにすぎず、具体性にも欠けてはいるものの、北朝鮮はこの項目を理由に韓国へさまざまな要求を突き付けてくることが予想される。韓国も合意した以上、直ちには拒否しづらいだろう。特に、民族主義的な性向の強い文在寅大統領には、響きの良い言い回しかもしれない。
しかし、国際社会が北朝鮮に制裁圧力を強化しているという現実を無視するようなことがあってはならない。圧力強化を主導する日米との政策調整が韓国に求められる理由の一つもここにある。
北朝鮮はしたたかだ。平昌五輪開幕まで1カ月を切った。韓国にあれこれ考える余裕を与えていないで交渉を展開した。駆け引きだけでなく、時間の主導権も確保しつつ、五輪参加で韓国に貸しをつくる形で、参加に伴う最大限の効果を得ようとしている 2年後に東京での五輪開催を控える日本も、今回の北朝鮮の対話攻勢を南北だけの問題として傍観することはできない。東京に南北合同チームや共同応援団を結成して乗り込んでくるのか。そしてその場合、どのように振る舞うのかを、平昌五輪を参考に、政治面でも運営面でも対応策を準備する必要がある。

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