Home > 社説 > 地方紙 > 四国地方 > 高知新聞(高知県) > 【高知新聞】 【慰安婦問題】韓国政府は真意の説明を
E255-KOCHI

【高知新聞】 【慰安婦問題】韓国政府は真意の説明を

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 従軍慰安婦問題の解決を政府間で確認した2015年の日韓合意について、韓国政府が新たな方針を発表した。
 韓国が新たに10億円を拠出した上で、日本が合意に基づき既に拠出している10億円の扱いは、今後両国で協議するという。
 合意の「再交渉」を巡っては、政府間の公式合意だった事実は否定できないとして、要求しない方針だとした。
 韓国政府の真意については、今のところ不明な点が多い。
 合意に基づき、韓国では一昨年、元慰安婦の「名誉や尊厳の回復、心の傷の癒やし」に向け政府が財団を設立した。日本の拠出金は、現金の支給や追悼行事など、財団の事業資金に充てられる計画だった。
 韓国政府が日本と同額を肩代わりするということは、国内に向けて政府の姿勢を訴える狙いがあるとみていいだろう。
 だが日韓合意は国と国との約束事である。極めて重い。
 合意は、日本は政府の責任を認め、韓国の財団に拠出する▽韓国はソウルの日本大使館前にある慰安婦少女像について適切に解決するよう努力する―と双方の役割を明確化した。慰安婦問題に関し「最終的かつ不可逆的解決」を確認している。
 韓国側が国家間の合意事項について変更を望むのなら、まず意図やその理由を誠実に説明するのが筋道であり優先すべきではないか。
 歴史的な事実は別にして、合意そのものや、その履行に関して日本政府に特段の落ち度はない。慰安婦問題で新たな歴史的事実が明らかになったわけでもない。
 新方針表明を受け、日本政府内には韓国に対する不信感が広がっているという。ここは両国が冷静に話し合わなければならない。
 韓国政府が新方針を表明した背景には、国内事情が大きく関係しているとみて間違いない。
 文在寅(ムンジェイン)大統領は「日韓合意の再交渉」を訴えて、昨年の大統領選を戦った。昨年末、康京和(カンギョンファ)外相直属の作業部会が合意について検証し発表した報告書では、「韓国政府は(慰安婦問題)被害者の意見を十分集約せず、主に政府の立場から決着させた」など、朴槿恵(パククネ)前政権への批判ばかりが目立つ。
 過程に問題があったとしても、原因は自国の前政権にあるはずだ。合意を交わした後、2年もたって再び取り上げ、韓国は慰安婦問題をどこへ導くのだろう。国際社会は日韓の現状をどうみるだろうか。
 元慰安婦は高齢化が著しい。抱えてきた心の傷は容易に癒えないにせよ、名誉と尊厳の回復をわずかでも図るには残された時間は少ない。
 韓国の財団では理事の多くが辞表を提出し、財団の活動への影響も懸念されている。韓国政府には、元慰安婦や支援団体に理解を求め、事態を収める努力が求められる。
 これ以上、時間を浪費することは許されない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。