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【信濃毎日新聞】 南北会談 今後を慎重に見極めよ

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 韓国と北朝鮮の閣僚級当局者による会談が行われ、平昌五輪に北朝鮮が参加することで合意した。
 今度の合意が南北関係や核・ミサイル、日本人拉致問題にどう影響するか、まだ分からない。今後の北朝鮮の対応を慎重に見極めたい。
 2年1カ月ぶりの南北会談である。1日の「新年の辞」で金正恩朝鮮労働党委員長が五輪参加の可能性に言及、南北関係改善に意欲を示したことを受けて開催した。共同報道文には両国が五輪成功のため協力することや、北朝鮮が高官級代表団、選手団を派遣することがうたわれた。
 文在寅韓国大統領は昨年7月、ベルリンでの演説で軍事当局者や南北赤十字の会談を北朝鮮に呼び掛けたものの、これまで無視されてきた。五輪参加は大統領にとり、対北朝鮮で就任後初めての外交的成果である。
 韓国側からは高揚感が伝わってくる。大統領は条件次第で首脳会談に応じる考えも述べている。
 南北の人々が平昌に集い、技と力を競うのは喜ばしい。それでこそ「平和の祭典」である。
 一方で今度の会談には素直には歓迎しにくい面もある。北朝鮮は核・ミサイル開発を進める姿勢をいささかも後退させてはいないからだ。金委員長は新年の辞で「核のボタンが私の机上に常に置かれている」と述べている。
 南北関係改善をてこに、核・ミサイル問題での日米韓共同歩調にくさびを打ち込む思惑が透けて見える。北朝鮮に融和的な姿勢を取る中国、ロシアを巻き込んで、国際包囲網に風穴をあけることも狙っているのだろう。
 会談で韓国側は緊張を高める行為の中断や非核化に向けた対話の再開を提案した。五輪後に北朝鮮が、提案に対しどんな姿勢を見せるかが当面のポイントだ。
 日本の対応が難しい。南北対話の進展はそれ自体としては望ましいとしても、核・ミサイル問題が置き去りにされるようでは困る。北朝鮮の外交攻勢が一定の成果を挙げれば拉致問題解決がさらに遠のく可能性も否定しきれない。
 トランプ米大統領は今度の会談について「五輪問題を超える協議に発展すれば素晴らしい」と述べた。トランプ政権の出方には不確定要素が多い。慎重な見極めはその面からも欠かせない。
 拉致問題を解決するには米韓との共同歩調と日本独自の外交努力の両方が必要だ。圧力一辺倒でない柔軟で戦略的な外交がこれまで以上に求められる。 (1月11日)

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