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【中日新聞】 イランのデモ 国際社会は改革支えよ

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 イランで異例の反政府デモが起きた。物価高など経済への不満が背景だ。国際社会は、トランプ米政権のように、ただ圧力を強めるのではなく、核合意を守り改革を続けるよう、支えるべきだ。
 デモは先月二十八日、北東部のマシャドで始まり、ソーシャルメディアなどを通じて首都テヘランなど五十都市以上に拡大。治安部隊との衝突で二十人以上が死亡、千人以上が拘束された。
 イランでの大規模反政府デモは、大統領選の不正疑惑に端を発した二〇〇九年以来だ。
 この時は知識人ら改革派も参加し政治色が強かったのに対し、今回のデモは生活への不満から連鎖的に広がった。イラン指導部は騒乱終結とデモ鎮圧を宣言したが、不満はくすぶったままだ。
 イランは一五年、保守穏健派のロウハニ大統領の下で、核開発制限に合意し、欧米は経済制裁を解除した。
 大統領は経済発展や行政の腐敗一掃などの改革を約束したが、進んでいない。干ばつなどの影響で食料品の価格が高騰、若者の失業率は40%に上り、三分の一の家庭で貯蓄が底をついたという。
 政府は福祉削減の一方で、軍事費、イスラム関連財団には多額の出資をしたとされる。
 イランはシリアのアサド政権を支持し、過激派組織「イスラム国(IS)」掃討作戦に革命防衛隊を派遣、サウジアラビアとの対立を深め、レバノンやイエメンへの介入も指摘される。暮らしが軍事偏重のしわ寄せを受けた形だ。
 さらに、トランプ政権の敵視政策が、イランの人々の不安に拍車を掛けている。イランの査察拒否を口実に核合意を認めないとし、制裁発動を判断するよう米議会に要求。イランのデモへの対応は人権問題だとして国連安全保障理事会で取り上げるよう要請した。
 米国の主張に対し、国際原子力機関(IAEA)は「イランは合意を履行している」と言明。欧州各国も核合意は守られている、デモもイランの内政問題などとして、米国とは一線を画す。
 イランへの圧力を強めるだけでは、企業は投資に慎重になり、保守強硬派は核合意見直しへと勢いづく。改革派や穏健派の立場は悪くなるばかりだ。
 核合意は米英仏独ロ中の六カ国が交渉の末、まとめた平和のための枠組みだ。これに沿って改革を促すことが国際社会の理にもかなう。イランを再び「悪の枢軸」扱いしてはならない。  

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