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【産経新聞】 「はれのひ」事件 捜査徹底し全容明らかに

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 振り袖の販売・レンタル業者「はれのひ」が成人の日を前に突然営業を取りやめ、多くの新成人女性が晴れ着を着られなかった問題では、被害総額が1億円を超える見通しだ。
 インターネット上の個人間売買サイトには大量の晴れ着が出品されており、「はれのひ」との関連も疑われている。
 一生に一度の晴れ舞台に臨む高揚感を狙った詐欺的行為ともいえ、到底許し難い。捜査当局には全容の解明を急ぎ、責任の所在を明らかにしてもらいたい。
 「はれのひ」の社名は、「ハレの日」の連想であろう。日常を表す「ケ」に対し、「ハレ」は祭り、祝い事などの非日常を表す。晴れ着とは、「ハレの日」の衣装でもある。そうした特別の日に和装に親しむ習慣は、意義深くもあり、ほほえましくもある。
 成人の日を楽しみに着付け会場や同社の店舗を訪れた女性や家族は、袖を通すはずだった晴れ着を目にすることもできず、責任者の不在を知った。料金はすでに振り込んでいる。めでたい日は、無残に暗転した。
 民間調査会社によれば、同社は一昨年9月期時点で6億円超の負債を抱え、同期末で約3億2千万円の債務超過に陥っていたとされるが、晴れ着を購買、またはレンタル契約を結んだ女性らがこれを知るのは困難である。
 被害者側に非はなく、加害者側に刑事罰を科すことでしか社会正義は保てない。新成人に教訓があるとすれば、世の中にはこうした悪意が存在するという、救い難き事実である。
 ただし一連の騒動には、わずかな救いもあった。同社の福岡店では社長らとの連絡が取れない中、「困っている人のために」と店員らが応対にあたった。
 各地の同業者らは急遽(きゅうきょ)レンタルに応じ、着付けのボランティアを行うなど、被害者の救済に動いた。晴れ着を着ることができなかった被害者らに改めて成人式を開く取り組みもあるという。
 昨年3月、格安旅行会社「てるみくらぶ」が約60人の就職内定者を抱えたまま倒産した際には同業他社などが救済に乗り出し、日本旅行業協会の斡旋(あっせん)などで、多くが当初志望通りの旅行関連業に就職した。
 日本社会には、まだまだそうした美風もある。

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