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【読売新聞】 退位式典準備委 象徴天皇に適う形式を探ろう

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 天皇の代替わりが国民から幅広く祝福されるよう、儀式の準備に万全を期さねばならない。
 天皇陛下が来年4月末に退位されるのに向け、政府が式典準備委員会を設置し、検討を始めた。
 菅官房長官をトップに、官房副長官や宮内庁長官ら7人で構成される。3月中旬をメドに基本方針を取りまとめる。
 退位の儀式は、憲政史上初めてとなる。退位は江戸時代の光格天皇以来、約200年ぶりだ。明治以降、天皇の退位や、それに伴う儀式は想定されてこなかった。
 象徴天皇制に適(かな)った形式にすることが大切である。
 江戸時代には、皇位を譲るという天皇の「宣命」が代読された。これを踏襲すれば、天皇自らの意思で退位したことになる。「国政に関する権能を有しない」と定めた憲法4条に抵触しかねない。
 「神器」など、皇室の由緒物を退位直後に新天皇に引き継ぐ「剣璽(けんじ)等承継の儀」にも留意すべき点がある。新旧天皇の間で直接受け渡しを行うと、同じ理由で憲法に触れる恐れがある。
 天皇陛下の関与の在り方について、十分な検討が求められる。
 両儀式は、新天皇の即位を内外に宣言する「即位の礼」などとともに、憲法に基づく国事行為として実施される見通しだ。
 国事行為以外の公的行事への備えも欠かせない。代表的なのが、収穫された新穀を天皇が神々に供えて国家の安寧などを祈る「大嘗祭(だいじょうさい)」だ。主要な儀式の締めくくりとして、来年秋に行われる。
 平成への代替わりでは、大嘗祭には公費が支出された。公的性格があるとの理由からだ。一方で、憲法が定める政教分離の観点からの批判も少なくなかった。
 関連する訴訟で、最高裁は公費支出を合憲とする判断を示している。政府は改めて、その位置付けをきちんと説明すべきだ。
 儀式に不備があれば、代替わりを祝う機運に水を差しかねない。委員会では今後、有識者からの意見聴取も行う予定だ。様々な知見を踏まえて議論を深めたい。
 儀式関連の費用は前回、123億円に上った。簡素化する余地はないのか、精査が必要だ。
 委員会とは別に、政府が準備を進めねばならない事柄は多い。国民生活への影響を考えれば、新元号は早期の公表が望ましい。
 退位後の上皇が、新天皇と並び立つことを案じる声もある。上皇の活動内容についても、事前に具体的な方針を定めたい。

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