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【陸奥新報】 中国・商標問題「大きな枠組みで問題解決を」

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 中国で「弘前」の文字が商標登録申請され、弘前市などが2016年に異議を申し立てていた問題で、中国の商標局が異議を認めない裁定を下していたことが分かった。中国の企業がローマ字の「AOMORI」の文字を商標出願していることも分かり、県など関係8団体が連名で今月5日に異議を申し立てている。
 中国の商標法には、一般に広く知られた外国地名は商標登録できないという規定があり、これまでも県などが「青森」という文字の商標出願に対して行った異議はすべて認められてきた。今回の「弘前」について、中国商標局は同国内での弘前の認知度は低いという判断を示したとされ、大方の県民が抱く「日本の地名であれば異議が認められるだろう」という認識が覆されたと言える。問題解決に向け、新たな取り組みが必要だ。
 中国の商標問題はこれまでも繰り返されてきた。本県では03年に中国の企業が乳製品や果物、水産物、野菜など5分野で「青森」の文字を商標登録出願する動きがあり、話題に。5件すべてが却下されたのは08年のことで、安堵(あんど)したのもつかの間、同年に「青淼(チンミャオ)」という「青森」と紛らわしい文字にリンゴの図柄を組み合わせた商標の登録申請が判明し、県などが再び異議申し立てを余儀なくされるなど、振り回された。
 中国では日本の都道府県名や政令指定都市名を無関係の第三者が商標出願する動きが多く、もはや本県だけの問題にとどまらない。商標が登録されれば、たとえ地名であってもその文字を使った輸出は他者の商標権を侵害するリスクがある。無関係の商品に地名が使われたり、日本と関連ある会社だと消費者を惑わすビジネスの可能性も否定できない。
 中でも懸念されるのがイメージの低下だ。16年の県産農水産物の輸出額が過去35年で最高額となった本県にとって、中国は重要な輸出先の一つであり、天津線就航を契機に観光面でのつながりも深まっている。今後の展開を注視したい。
 本県では03年の騒動を契機に、県産品であることを示す統一マークの商標登録や県内の団体による海外での商標出願の支援など積極的な防衛策も講じてきた。ただ商標の無効を求める取り組みは時間も手間もコストもかかる割に、根本的な解決にはつながっていないのが現状。特許庁は日本貿易振興機構とも連携し、各自治体への情報提供や対応策・事前予防策のマニュアル提示などの支援策を打ち出しているが、自治体任せにせず、より大きな枠組みで中国側へ訴え、根本的な解決策を探ることが重要ではないか。
 「弘前」の商標については市などが商標を無効とする審判などの手続きを検討しているという。難しい面も多々あろうが、中国側の考えを知るという点で他の参考になるはず。結果の成否を問わず、積極的な情報公開を求めたい。

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