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【京都新聞】 経団連次期会長  政権とは適切な距離を

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 経団連の次期会長に日立製作所会長の中西宏明氏が内定した。
 巨額赤字に転落した日立を立て直した経営手腕が評価された。加えて「未来投資会議」の民間議員を務め、安倍晋三政権と近い点が決め手となったという。
 5月に就任し、経済界のかじ取り役を担うが、日本経済が回復基調にある好機にデフレ脱却など長年の懸案を民間主導で克服できるのか。その指導力に期待したい。
 中西氏は今後の成長が期待される人工知能(AI)やロボットなどの先進分野にも明るい。大企業だけでなく、新産業や起業を応援する姿勢を求めたい。
 豊富な国際経験を生かし、保護主義的な動きを強める米国や、アジア経済圏構想を描く中国などとの民間外交も重要な課題となる。
 一方で、経団連と政治との近過ぎる距離感が気掛かりだ。
 現会長の榊原定征氏は、政治と経済を「車の両輪」と位置付け、関係強化を図った。政権を全面的に支援して影響力を増す戦略で、既得権維持につながりかねない。
 中西氏も「政治との対話を充実させたい」と語り、政権との蜜月関係を深める考えだが、協調路線を訴えるだけでは「財界総理」としての存在意義が問われる。
 経団連会長の発言力は小さくない。社会的責任の重さを肝に銘じ、政権の意向を忖度(そんたく)するだけでなく、労働組合や市民を含む幅広い対話を大切にしてほしい。
 現在、筆頭副会長である中西氏は就任前から正念場を迎える。消費を喚起し、デフレ脱却を目指す首相は、今春闘で経済界に3%の賃上げを要請。経団連も3%の賃上げに前向きだ。電機業界の春闘相場を引っ張る出身企業の日立の対応が注目されるに違いない。
 相次ぐ企業不祥事への対策も欠かせない。経団連の会長企業を含め製品の検査データ改ざんが数多く発覚した。リニア中央新幹線工事を巡るゼネコンの談合疑惑なども浮上した。企業倫理にほころびが生じ、日本のものづくりの危機と言える。根本から正さなければ信頼回復にはつながらない。企業統治の強化こそ最大の責務である。
 大規模な金融緩和と大胆な財政出動によるアベノミクスに始まった景気拡大は、「いざなぎ景気」を超えたとされる。とはいえ好況の実感はいまだに十分とは言い難く、逆に格差が広がっている。雇用や賃金は企業経営の範囲であり、全体の不利益や不公平を生まないよう目配りすることも経済界トップの責務であろう。

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