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【京都新聞】 電子・ネット投票  有権者の情報どう守る

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
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 情報通信技術(ICT)の進展は、有権者の利便性を高めることにつながるのだろうか。
 投票所のタッチパネルで候補者に票を投じる「電子投票」や、スマートフォンなどで投票できる「インターネット投票」を国政選挙に導入することの可否を検討する研究会を総務省が設けた。
 投票率向上や開票作業のスピードアップが期待できるという。ただ、機械トラブルやサイバー攻撃など安全面の課題もある。どのような形で実現できるか、問題点を徹底的に洗い出してほしい。
 昨年10月の衆院選では台風の影響で投票箱が開票所に届かず、8県12市村で即日開票ができなかった。このため、野田聖子総務相が研究開始を指示したという。
 電子投票は2002年に、地方選に限って認められた。だが、機械故障で開票が一時ストップした03年の岐阜県可児市議選が訴訟に発展し、最高裁で選挙無効が確定した。こうした懸念があって普及は進まず、現在、実質的に行っているのは全国で2市町だけだ。
 一部選挙区で導入していた京都市も12年の市長選を最後に取りやめた。投票された情報はオンラインではなく媒体に記録して開票所へ運ぶなど、ネット時代らしからぬ不合理な決まりも残っていた。
 使い勝手の良い投票方法とは言い難い。このままの形で国政選挙に導入しても、期待通りの効果が上がるとは思えない。
 一歩進めて、インターネットなどのオンラインシステムを投開票手続きに活用するとしても、安全対策が課題となる。システムダウン時の対応や、投票情報の改ざん防止策などが欠かせない。
 投票用紙が存在しないため、訴訟などで投票内容を事後に検証する必要が生じた場合のルールも決めておかなくてはならない。
 成り済ましを防ぐための厳格な本人確認手法の確立も不可欠だ。総務省にはマイナンバーカードの活用案もあるというが、カードの普及率は約10%にとどまるうえ、多くの個人情報が書き込まれている。投票の秘密が守れるかどうか、十分検討する必要がある。
 有権者がパソコンやスマートフォンでどこからでも安心して投票できる次世代の投票方法をつくるには、こうした問題点を確実にクリアしなければならない。
 公正な選挙は民主主義の大前提である。投票率向上や開票事務の効率化を目指すあまり、有権者の権利をおろそかにするようなことがあってはならない。

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