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【読売新聞】 「はれのひ」事件 新成人の門出にけちがついた

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 新成人の門出を台なしにする悪業だ。
 着物販売レンタル「はれのひ」の店舗が成人の日の直前に突然、閉鎖された。多くの新成人が振り袖を着られなかった。式への出席を諦めた人もいる。前代未聞のトラブルだろう。
 「はれのひ」は、本部がある横浜市などで4店舗を展開していた。消費生活相談窓口には約900件の相談が寄せられ、被害総額は約2億8000万円に上る。
 一生に一度の晴れ舞台を心待ちにしていた新成人や家族の怒りや落胆は、いかばかりだろうか。
 成人の日の前日から、横浜の店舗の電話はつながらなかった。当日は、着付け会場のホテルに約200人が集まったが、担当者が現れずに大混乱した。
 3月の卒業式用の袴(はかま)や、来年以降の成人式での晴れ着を予約している人も多いという。
 神奈川県警は、詐欺容疑を視野に捜査する方針だ。速やかに全容を解明してもらいたい。
 民間信用調査会社によると、「はれのひ」は、2016年9月期末で3億円以上の債務超過になっていた。従業員への賃金の支払いも度々滞っている。労働基準監督署からは、再三にわたって是正勧告を受けていた。
 その一方で、ホームページでは「早期特典盛り沢山(だくさん)」といった宣伝を続け、客を集めていた。「即決で現金払いなら、5%引きにする」などと説明され、支払いを急(せ)かされた人もいる。
 成人の日までに、可能な限り現金を集める。店の閉鎖は計画的だったのではないか。当日、社長とは連絡が取れなかったという。
 経営に行き詰まった末、支払いを済ませた顧客に損害を被らせる手法は、社長らが詐欺罪などで起訴された旅行会社「てるみくらぶ」のケースと似ている。
 「はれのひ」の福岡市の店舗では、店員らが自発的に店を開けて、着付けに対応した。「お嬢さんたちを泣かせるわけにいかない」との気持ちからだったという。
 他の店舗では、トラブルを知った同業者が急きょ、着物のレンタルに応じたり、ボランティアの人が着付けを手伝ったりした。
 被害者にとっては、せめてもの救いだったろう。
 横浜市は、被害を受けた新成人を対象にした式典の開催を検討している。東京都八王子市でも、呉服店などの有志が、式典のやり直しに向けて動き出した。
 被害者に非はない。支援の輪をさらに広げたい。

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