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【信濃毎日新聞】 善光寺貫主 これで収拾できるのか

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 善光寺大勧進の小松玄澄貫主(かんす)が退任の意向を示した。
 国内有数の名刹(めいさつ)で貫主の言動を巡る内紛が10年以上続く。うんざりとの声も多かった。
 ただ、記者会見で貫主は退任時期を明かさず、引責も否定した。事態は収拾できるのだろうか。
 善光寺には天台宗の寺院大勧進と浄土宗の尼僧寺院大本願がある。貫主は大勧進の住職である。
 内紛の発端は、小松貫主が就任して4年目の2005年にさかのぼる。
 月刊誌に掲載された記事を巡り、寺周辺の宿坊住職でつくる天台宗一山(いっさん)(25院)の一部が貫主の退任を要求し、訴訟に発展した。
 東京高裁の確定判決は、一山のトップとの会談で貫主が退任の約束をしたと認めたが、「法的拘束力があるとはいえない」とした。小松氏は貫主を続けた。
 その後も比叡山延暦寺が副住職に推挙した人物を小松貫主が拒否するなどの混乱が続く。
 大勧進の女性職員2人が差別やセクハラの発言があったと証言したことで16年に貫主の退任を求める動きが再燃。信徒総代も退任を勧告した。
 一山側は本堂への昇堂停止を要求した。貫主は差別などの発言を否定しながらも昇堂を自粛し、給与の支払いを差し止められた。
 影響は年間600万人に上る参拝客にも及んでいる。
 貫主らが本堂のお朝事(あさじ)の行き帰りに、ひざまずく参拝者の頭を数珠でなでて功徳を授ける大勧進の「お数珠頂戴」が、態勢が整わず中断した。毎日の恒例行事だけに参拝者を残念がらせた。
 小松貫主は10日の会見で「平常通り業務に復帰する」「いずれ将来、後任を定め、道を譲りたい」と述べ、質疑をほとんど受け付けずに5分ほどで打ち切った。
 説明不足を理由に翌日も開いた会見では「退任会見ではない」とくぎを刺した。配布文書には差別などの発言をしたとされる問題について「次元の低俗なデマゴーグ(扇動家)に迷わされることなく」と記してもいる。
 これで関係者に納得されるのか心配になる。
 善光寺は創建約1400年の歴史を持ち、本尊は日本最古の仏像とされる。安置する本堂は国宝である。内紛は世界遺産登録を目指す活動にもマイナス材料になる。
 いにしえから宗派を問わず誰でも分け隔てなく受け入れてきた「開かれた寺」である。その信頼と親しみをこれ以上損なうことがないよう願う。 (1月13日)

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