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【福島民報】 【交通死者減少】ゼロ目指し知恵絞ろう

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 昨年、県内で発生した交通事故の死者数は68人で、64年ぶりに70人を下回った。全国でも3694人と統計史上最少だった。一方、年明けから県内外で高齢ドライバーの逆走や、逆走に伴う重大事故が発生した。死亡事故の減少は適切な対策を重ねれば、犠牲者は減らせることを示している。車両や交通環境の安全技術の向上で高齢者関与の事故を減らすとともに、車なしでも暮らしやすい地域の仕組みをつくるため知恵を絞りたい。
 全国で年間1万人を超す死者を出す「交通戦争」の時代もあった。しかし、交通違反の厳罰化、地域・組織ぐるみの交通安全運動、エアバッグやシートベルトといったハード面の対策の成果として死亡事故は年々、減少してきた。
 逆に注目されるようになったのが高齢者がからむ事故だ。高齢者人口自体が増えているため死者全体が減っても高齢者の割合は上昇している。2016(平成28)年は54・8%を占めた。
 75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故も減らない。同年では全体の13・5%で上昇傾向が続いている。
 ドライバーの誤操作を防ぐ車の機能や、自動運転が普及すれば高齢者の事故防止にもつながるが、一般的になるには時間がかかる。
 警察は昨年3月から75歳以上の高齢者の免許更新時に認知症検査を強化した。しかし9日、前橋市で女子高生2人をはねた85歳の男性は検査で異常を指摘されなかった。一方で家族は男性の運転の危険性を認識していた。こうした事故を1件でも減らすには検査の精度を高めるとともに、家族が医師や警察など第三者の力を得ながら、高齢者のプライドを傷つけずに免許の返納を勧める社会の雰囲気づくりが必要だ。
 公共交通が乏しい地方で、車の運転ができなくなれば生活に支障を来す。県内でも自治体が乗り合いタクシーの運行や、バス・タクシーの利用券交付といった事業を展開しているが、さらに利用しやすくする工夫が必要だ。
 日本や欧米諸国30カ国の交通事故の統計によると、人口10万人当たりの死者数は、米国10・9人、韓国9・1人などに比べ日本は3・8人。全体でも10番目に少ない。教育による社会全体の安全意識の差が大きな要因だろう。日本は諸外国と比べて歩行時の高齢者の事故が多い。これも教育、啓発で減らせるはずだ。交通安全に関するソフト、ハード両面の力をさらに強化して交通死者ゼロを本気で目指したい。(佐久間順)

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