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【京都新聞】 商工中金の改革  先送り排して民営化を

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 2年前に不正融資問題が発覚した中小企業向け政府系金融機関の商工組合中央金庫(商工中金)の抜本改革を検討していた有識者会議が提言をまとめた。完全民営化する方向で4年後に最終的な判断を下すという。
 4年後に判断という提言には法的な拘束力はなく、これまで先送りを重ねた民営化の実現には疑問符が付く。商工中金も将来像が定まらないままでは経営は迷走する。「完全民営化の実行への移行を判断」という曖昧な言い回しにとらわれず、政府は法改正など準備を急ぎ、現状維持を図る横やりを排し、完全民営化にかじを切るべきだ。
 官業の民営化は、行財政改革を進めてきた戦後政治の流れのなかにある。1980年代に国鉄(現JR各社)や日本電信電話公社(現NTT)、日本専売公社(現日本たばこ産業)とともに議論が始まり、商工中金は2015年度までに民営化する方向性が打ち出された。ところが、今も政府が46%の株式を握り、民間金融機関ができない業務を補完すると主張している。
 折々の経済状況を理由に民営化は先に延ばされた。08年のリーマン・ショックでは中小企業の資金繰りが悪化したことを背景に、危機対応融資を武器として営業を続けた。
 金融危機などで業績が悪化した中小企業に国が税金で利子補給して低利融資する仕組みで、経営が健全で本来は制度の対象にならない企業にも組織的に不正な融資を行っていた。
 経済産業省は、商工中金の歴代トップに人材を送り込み、完全民営化を阻止したいのが本音だという。内部調査では条件を満たさない融資の総額は約2600億円に達したという。
 不正は特定の人物による明確な指示がないまま続いていたといい、監督官庁の経産省は身内に甘い対応がなかったのか、さらなる検証が必要だ。
 民間人の起用を求められたトップについては、新社長にプリンスホテル取締役常務執行役員の関根正裕氏を充てる人事を内定した。
 中小企業の経営再建と再生、後継者のいない会社の事業継承は、引き続き商工中金の大きな任務となる。
 中小企業を支援することに異論はない。その役割を民間金融機関と分かち合いながら、事業の将来性に着眼した融資を図ることが、民営化の新たなビジネスモデルとなる。

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