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【陸奥新報】 火災死者ワースト「より一層の防火意識高揚を」

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 全国の火災による死者数は近年、減少傾向となっている。総務省消防庁の資料によると、放火自殺なども含めた2016年の死者数は1452人で、07年と比べると27・6%減り、10年間で7割程度にまで減少。16年の総出火件数は3万6831件で、やはり減少傾向。07年比では32・6%減っており、特に建物火災は1万件以上少ない2万991件だった。
 死者数や火災件数が減っている背景に何があるのか。06年6月から新築住宅の火災警報器の設置、08年10月からは家庭向けの新設ガスコンロに過熱防止用センサーの設置がそれぞれ義務化された。11年9月には幼児が扱いにくい機能を備えた使い捨てライターを製造、販売することが義務付けられた。こうした対策が複合的に絡み合い、効果をもたらしていると考えられる。
 そうした中、本県は人口10万人当たりの火災による死者数(死者発生率)が依然として高い傾向となっている。16年は2・39人で、3年ぶりに全国ワーストとなった。続く福島の2・15人、秋田と新潟の2・11人と比べても突出した状況。最少の沖縄(0・34人)とは7倍もの差が生じている。
 県の担当者は「依然として住宅の火災警報器の設置が少ない状況。火災が発生した場合に少しでも助かる確率を高めるため、設置をお願いしたい」と呼び掛ける。警報器によって逃げ遅れを防ぐことができた効果も報告されており、何とかして設置率を高めていきたい。
 また、都道府県別の死者発生率を見ると、高齢者の割合が少ない自治体は低くなる傾向にあることも見て取れる。内閣府の高齢社会白書によると、15年の都道府県高齢化率で最も低いのは沖縄で19・6%。22・7%の東京や23・8%の愛知、23・9%の神奈川なども低く、死者発生率の低い都道府県と重なる。
 一方、本県の高齢化率は30・1%で全国12番目。福島は22番目、秋田は1番目、新潟は14番目となっている。専門家は「高齢者は若い人に比べて、火災の発生に気付きにくかったり、逃げ遅れがちだったりする」と指摘。「独居高齢者の多い地域ほど火災の犠牲者が出やすくなるのではないか」と推測する。
 16年の火災による死者のうち、高齢者は6割の873人。本県は死者32人のうち、7割近くに当たる22人が高齢者だった。高齢者をいかに守るかが死者数減少のカギの一つになることは確実だ。高齢者の防火意識高揚はもちろん、周囲の気配りや目配せも必要だろう。
 県によると、17年の火災による死者数は前年の半分以下となる14人(暫定値)で改善傾向。県の担当者は「市町村や消防本部の継続的な広報活動が奏功し、県民の防火意識が高まったのでは」と分析する。この流れをさらに加速させ、犠牲者の減少をさらに進めたい。

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