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【富山新聞】 カヌーの薬物混入 苦い教訓を糧に対策を

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 カヌー・スプリント男子の鈴木康大選手が、小松市木場潟を会場に開催された日本選手権の大会中、ライバル選手に禁止薬物を飲ませていた問題で、石川県警が偽計業務妨害などの疑いで捜査を始めた。被害に遭った小松正治選手は昨年11月の段階で被害届を提出しており、県警は鈴木選手から事情を聴いている。
 2年後に迫った東京五輪・パラリンピックに向け、木場潟を各国代表チームの事前合宿地として、売り込んでいる最中に起きた前代未聞の不祥事である。ドーピング違反が少ないクリーンな国というイメージを覆したという点で、日本のスポーツ界全体に重い課題が突き付けられた。
 ドーピングに対する危機感の薄さ、自ら身を守るノウハウ、激烈な競争にさらされる選手のサポートなど、苦い教訓を糧として競技団体の枠を超えて対策を練る必要があるのではないか。
 鈴木選手は薬物以外にも小松選手の現金とパスポートを隠し、所属先に中傷する内容のメールを送るなどの嫌がらせ行為を繰り返していた。現金とパスポートを隠したのも昨年6月、木場潟で行われていた代表合宿中だったというから、地元小松市やカヌー協会の関係者は胸が痛む思いだろう。
 鈴木選手が非を悔いて、犯行を自ら申し出たことが、せめてもの救いだが、あまりも悪質で卑劣な行為である。小松選手は検査で陽性反応を示し、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)から暫定的な資格停止処分を科されている。薬物混入の事実が発覚しなければ、五輪への夢が絶たれるところだった。
 鈴木選手には他人の不知や錯誤を利用する意図を持って業務を妨害する偽計業務妨害のほか、窃盗の疑いもある。これとは別に約8年前から、5~6人のライバル選手の用具を壊すなどの嫌がらせをしていたともいわれる。
 鈴木選手はJADAから8年間の資格停止処分を言い渡された。既に社会的な制裁は受けているとはいえ、事件の経緯や背景を明らかにするには、警察の捜査が欠かせない。

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