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【河北新報】 「原発ゼロ」法案/事故の教訓 生かすべきだ

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 「原発ゼロ」実現に向けた民間団体と野党との共闘の動きが実を結びそうだ。
 小泉純一郎、細川護煕両元首相が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が、全原発の即時停止を柱とした基本法案を発表、各党に支持を求めた。
 22日召集の通常国会に独自法案の提出を目指している立憲民主党などと協力体制を築ける可能性がある。
 原発政策は昨秋の衆院選で際立った争点とは言えなかったが、今回の動きを国民的議論のきっかけにしたい。
 推進連盟がまとめた「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」は、原発廃止と再生可能エネルギーへの全面転換を国の責務と明記。核燃料サイクル事業からの撤退も掲げた。
 小泉氏らの発言には原発の安全性を過信し福島第1原発事故を引き起こしたことへの反省と危機感が強くにじむ。
 記者会見で小泉氏は「必ず近いうちに国民多数の賛同を得て実現する」と強調。法案を踏まえた論戦を求めた。
 ただ、国民の広範な支持を得るには原発との決別を訴えるだけでは進まない。現状を見極め達成可能な手順を具体的に示すことが求められる。
 衆院選で「原発ゼロ基本法」の制定を公約に掲げた立憲民主党は、東日本大震災から7年となる3月11日までの法案提出を見込んでいる。
 2030年までの全ての発電用原子炉廃止を政府目標とし、廃炉の支援、原発立地地域の雇用創出に国が責任を持つことなどが盛り込まれる。原則40年とする運転期間の延長や新増設も認めない。
 「原発に依存しない社会の実現」が同党の基本姿勢。電力会社や自治体とも接点を探る点で従来の脱原発論の先を見据える。方向性で一致できる政党や団体は多いのではないか。法案提出まで連携の議論を積み重ねてほしい。
 政府は30年度の原発の発電比率を20〜22%に引き上げる目標を掲げ、「原発回帰」の姿勢が際立っている。
 小泉氏らの提案について菅義偉官房長官は「原子力規制委員会で安全性が確認された原発のみ、再稼働を進める考えに変わりない」と述べた。
 しかし、そんな「再稼働ありき」の流れを断ち切る司法判断が先月、広島高裁で示された。四国電力伊方原発3号機を巡る仮処分で高裁として初めて差し止めを決定した。
 高裁は大規模噴火の影響を理由に、規制委の判断に疑問符を突き付けた。事故の危険性の判定を専門家だけに任せておけばよい、という段階は過ぎた。そう認識すべきだ。
 再生可能エネルギーへの転換は世界の潮流である。廃炉の見通しさえ立たない現実を見れば、一日でも早く原発ゼロの日を迎えたいというのが国民の願いではないか。福島県では今も5万人を超す避難者がいる。未曽有の被害をもたらした事故の教訓を生かす法案にしなければならない。

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