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【読売新聞】 福島風評対策 魅力と正しい知識を伝えよう

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 原子力発電所の事故があった福島県の復興を加速するためには、政府一体となった積極的な取り組みが欠かせない。
 復興庁が、福島復興に関する「風評払拭(ふっしょく)・リスクコミュニケーション強化戦略」をまとめた。関係省庁が、福島の現状や魅力などを国内外に発信していく際の基本方針となる。
 これまでは、関係省庁が個別の問題に対症療法的に対処してきた。被災地支援を統括すべき復興庁が、風評対策で十分に機能してきたとは言い難い。同じ戦略の下、省庁が連携することで、実のある成果を上げてもらいたい。
 戦略が柱として掲げたのは、「知ってもらう」「食べてもらう」「来てもらう」の3点だ。
 偏見や差別が今なお残る現状を踏まえている。科学的データに基づき、現状を正確に捉え直してもらうことが大切である。
 「知ってもらう」では、放射線への正しい理解を広める。
 「身の回りには日常的に放射線が存在する」「福島第一原発事故とチェルノブイリ原発事故は異なる」「放射線はうつらない」といった客観的な事実をテレビやインターネットなどで伝える。
 福島第一原発の周辺を除き、放射線量は、他県とほぼ同水準にまで低下したことも説明する。
 見過ごせないのは、避難した児童生徒へのいじめだ。
 戦略では、全国の小中高生向けの放射線副読本を改訂する。教師や教育委員会職員に対する研修も増やす。子どもを守るためには、まずは教師が、放射線の影響や特性を正しく知ることが肝要だ。
 「食べてもらう」では、福島産の農水産物の安全性をアピールする。厳格な検査を経て出荷している現状を紹介する。
 事故から7年近くが経過したにもかかわらず、品質に見合った値段がつかない。2016年産の桃は、全国平均価格より1キロ・グラム当たり115円安かった。首都圏に比較的近い立地条件などから、事故前には人気の産品だった。
 韓国などは、現在も福島産の輸入を制限している。政府として粘り強く撤廃を働きかけたい。
 「来てもらう」も重要だ。依然として、観光への影響が残る。訪日外国人の急増で、全国の観光業が活気づく中、福島への観光客数は事故前の約9割だ。
 戦略では、好印象を持たれる画像のネット配信などに力を入れる。多くの人が福島を実際に訪れて、肌で感じる。それが、最も効果的な風評対策だと言えよう。

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