Home > 社説 > 地方紙 > 四国地方 > 高知新聞(高知県) > 【高知新聞】 【大雪で電車停止】最悪への備え再確認を
E255-KOCHI

【高知新聞】 【大雪で電車停止】最悪への備え再確認を

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 鉄道運行の安全意識が厳しく問い直された、JR西日本の新幹線トラブルが起きたばかりである。JR東日本は対岸の火事にしていなかったか。徹底検証を求める。
 新潟県三条市でJR信越線の4両編成の普通電車が大雪で立ち往生し、乗客約430人が車内で一夜を明かす事態に巻き込まれた。
 車内灯や暖房は作動していたとはいえ、乗客は約15時間半にもわたって、窮屈になった車内に閉じ込められた。ずっと立ったまま耐えたり、体調不良を訴え、救助後に病院に搬送されたりした乗客もいた。
 JR東は、乗客を降ろさず、バスなどによる代替輸送も見送った対応について、夜間で、外に雪が積もっていた状況から「安全を優先した」と説明する。
 では、暖房が止まったり、病人がいたりした場合はどう対処するつもりだったのか。最悪の事態への備えを欠いていたのではないか。
 電車は11日午後4時半前、新潟駅を出発し長岡駅に向かった。だが積雪に阻まれ再三停止し、乗務員が雪かきをしてはまた運転再開を繰り返した。その果てに進めなくなった。
 信越線は県内全域的な降雪のため運休などが相次ぎ、この電車も出発が1時間以上遅れ、普段より多い通勤、通学客らを乗せていた。三条市も11日夕から1時間当たり8~9センチの降雪を記録し、積雪は最大約80センチに達した。
 日本海から強い寒気が入り、短時間で激しい雪を降らす雪雲の列「収束帯」が発生していた。
 電車の先頭に雪をかき分ける装備があり、JR東は走行可能と判断したという。だが、除雪能力を超える積雪を予測できず、途中の駅で運行を断念する機会も逃した。除雪車の出動も遅れた。
 新潟は豪雪地帯だけに、経験値からの「慣れ」に過信した油断はなかったか。自然を軽視してはいけないという教訓を忘れていなかったか。収束帯による「どか雪」は過去にも鳥取県内などで起きている。
 JR東は「安全は最優先だが、到着するのも使命で、仮に遅れが出ても走らせたいとの思いがあった」と説明する。困った乗客のために精いっぱい運行したかったとの釈明だが、本末転倒だ。
 たとえ、乗客らから運行を迫られても、安全確保に懸念があれば止める。その上で、乗客に十分納得してもらうため、丁寧に説明を尽くす。乗客との信頼関係を築く努力が安心につながる。
 立ち往生した電車内に閉じ込められた乗客から「説明不足」との強い抗議の声が上がったという。命を預けている乗客に対しあまりに不誠実だ。乗客の精神的苦痛やいら立ちへの配慮を欠く。
 本県も豪雨や地震だけではなく、山間部などは大雪に見舞われる可能性は十分にある。遠い雪国の出来事とせず、降雪対策を再確認したい。安全対策とは最悪の事態に備える危機管理でもある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。