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【京都新聞】 児童虐待防止  家庭の孤立防ぐ手だてを

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 声なきSOSをどう察知するのか。子どもに対する虐待事件が、改めて問いを突きつけている。
 昨年末、大阪府箕面市と寝屋川市で明らかになった児童虐待事件のことだ。
 箕面市の事件では、集合住宅で4歳の男児が母親と、同居していた男2人に殴られて死亡した。
 男児の体には50カ所以上のあざがあり、殺人容疑で逮捕された3人は日常的に暴行を加えていたとされる。
 寝屋川市では隔離された小部屋に閉じ込められた33歳の女性が衰弱死していた。55歳の父親と53歳の母親が監禁と保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された。
 両親は警察の調べに対し、この女性が中学生のころから閉じ込めていたと供述している。
 家庭という他人の関与しにくい空間で起きた典型的な子どもの虐待である。
 現在も警察の捜査が続いている。予断を持つことは避けねばならないが、行政や学校など「社会」が早期に気づけば、命が失われる事態は防げたのではないか。
 箕面市の事件では、男児が通っていた市立保育所の家庭訪問で2歳の弟の顔にあざが見つかったが、市は児童相談所に連絡していなかった。行政はそれ以前から母親の育児放棄などを察知していたが、危険度が高いと認識していなかったという。
 衰弱死した寝屋川市の女性は小学校6年から学校を休み、中学には1日も通っていなかった。統合失調症と診断され「暴れる」という理由で小部屋に隔離されていた。
 子どもの出席状況や成績の記録は保存期間を過ぎ、行政は当時を検証できない状況だ。だが同級生らは「異変」を察知、学校に指摘していたという。
 子どもが保育所や学校に在籍していても、虐待は把握されていなかった。地域の中で家庭が孤立していた状況が浮かび上がる。
 箕面市の母親らの育児状況がなぜ問題にならなかったのか。寝屋川市の両親が障害児教育や福祉の窓口に行かなかったのはどうしてか。長期欠席の子どもについて学校や教育委員会が問題視しなかったのはなぜか。解明が必要なことも多い。
 両市では検討が始まっているが、外部の識者などを含め、詳細に検証してほしい。結果は公表し、各地で共有するべきだ。
 児童虐待の認知件数そのものは増えている。2016年度には約12万2500件となり、過去最多になった。
 子どもの虐待は社会的問題という認識が広まり、相談や通告が増えているからだろう。これまで見過ごされてきたケースが掘り起こされた事 例もある。
 一昨年、児相が家庭に介入する権限が強化された。被害児童への聞き取りを捜査当局と連携して行うことも増えた。課題は現場の人員不足だ。
 子どものSOSを感知する力を強めたのに人員不足で対策を実行できていないなら残念だ。
 家庭の孤立を防ぐため、地域や民間団体との連携も強める必要がある。幅広い知恵を集めたい。

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