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【河北新報】 陸自ヘリ住宅に墜落/組織全体の徹底検証が必要

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 陸上自衛隊のAH64D戦闘ヘリコプターが、佐賀県神埼市の住宅に墜落し、炎上した。乗員1人が死亡、不明だった機長の遺体も見つかった。この家の小学5年の女児が軽いけがをした。
 墜落現場の周辺には小学校や幼稚園もあった。一歩間違えれば、大惨事につながるところだった。火柱と黒煙に覆われた集落の騒然とした様子を見る限り、住民に犠牲者が出なかったのは偶然としか言いようがない。
 所属する陸自目達原(めたばる)駐屯地(同県吉野ケ里町)で整備点検を受けた後、ヘリは試験飛行のため午後4時36分に離陸した。2分後の管制官との交信時には異常はなく、その5分後に墜落した。回避行動を取れなかったことを考えると、突発事故の可能性が高い。
 防衛省によると、上空でメインローター(主回転翼)が外れ、ほぼ垂直に落下したとみられている。整備では主回転翼の中心部で動力を伝えるメインローターヘッドという部品を交換していた。
 ヘリのメインローターが分離する事故は極めて異例だという。部品自体に欠陥があったのか、それとも整備点検に落ち度があったのか。防衛省は事故の異常性を重く受け止め、原因究明に全力を挙げなければならない。
 昨年1年間だけを見ても、人命が失われる自衛隊のヘリなどの事故が3件もあった。
 8月には青森県沖の日本海上で海自の哨戒ヘリが墜落。3人が行方不明になり2人の遺体が見つかった。5月には陸自の連絡偵察機が北海道北斗市内の山中に墜落し4人が死亡。浜松市沖でも10月に空自の救難ヘリが墜落して3人死亡、1人が不明となった。
 これだけ深刻な事故やトラブルが頻発すると、背後に組織的な問題が潜んでいるのではないか、と疑念を抱かざるを得ない。機体自体の性能はもとより、整備や訓練、任務のあり方など自衛隊組織全体の徹底した検証が必要だ。
 緊迫化する北朝鮮情勢などとの関連を指摘する声がある。現場の幹部は「恒常的実任務が増え、訓練に割く時間が確保できていない」と証言する。そうであれば、自衛官に過重な負担を強いる態勢の見直しが不可避だろう。
 防衛省は、佐賀空港(佐賀市)に米国から購入した輸送機オスプレイを17機配備する計画を進めている。事故を受け山口祥義知事は「非常に憂慮する状況だ」と述べた。
 米軍によるトラブルが続くオスプレイである。今回の墜落で、受け入れに慎重になるのは当然ではないか。陸自王城寺原演習場(宮城県大和町、色麻町、大衡村)で15日から始まる日米共同訓練にもオスプレイが参加する予定だ。防衛省は安全対策に十分に配慮し対応する必要がある。
 狭い日本の国土では事故はどこでも起こり得る。防衛省は足元を見つめ直し、再発防止に万全を期すべきだ。

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