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【西日本新聞】 大学定員増禁止 地方の活性化とは無縁だ

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 東京23区にある大学の定員増を法律で禁ずることが、なぜ東京一極集中の是正や地方の活性化に結び付くのか。全く理解に苦しむ。
 政府は23区の大学定員増を10年間禁止するとともに、地方大学振興の交付金を創設する地方創生関連の新法案を閣議決定した。今通常国会で成立を目指すという。
 法案は「若者の著しい減少」で「地域の活力が低下」しているとして「地域の修学と就業を促進」するため「23区の大学は定員を増加させてはならない」とした。
 あまりにも短絡的だ。そもそも進学先を決めるのは学生側である。政府が定員に絡めて強制、誘導するものではない。都会の大学で学んだことを地方にUターン・Iターンして生かす人も多い。
 しかも東京に流入するのは学生だけではない。一極集中問題に本気で取り組むなら、資金や情報なども含めて東京に集積する社会構造そのものを見直す必要がある。
 安倍晋三首相が掲げる地方創生ではこれまで、企業の本社機能や中央省庁の関係機関を地方に移転する政策を打ち出したが、目立った成果は上がっていない。
 地方から東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県)への人口転入超過は2016年で約12万人に及ぶ。このままでは20年に転入・転出均衡と大見えを切った目標の達成は困難と焦った政府が学生の流入に矛先を向けた形だ。
 法案のもう一つの柱である地方大学の振興は重要な課題だが、交付金は地方大学ではなく、なぜか地方自治体に配分される。
 自治体が政府の基本指針に基づき産業振興や人材育成も含めて作る計画が認められると交付金支給‐という流れだという。これで地域の特色や大学の独創性が生かされるのか疑問だ。地方の大学は自治体が運営する公立だけでなく国立も私立もある。むしろ公立は少数派だ。全体を見渡した計画策定が自治体で可能なのか。
 発想が貧困で生煮えの法案と言わざるを得ない。一極集中の是正も地方の活性化も、政策の抜本的な見直しを政府に求めたい。

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