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【富山新聞】 韓国で五輪外交 北が狙う日米韓の分断

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 平昌五輪開幕を機に、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領を軸とした首脳級外交が始まった。文大統領はドイツのシュタインマイヤー大統領との会談で、「南北関係の改善と朝鮮半島の非核化はともに進めるしかない」と語った。難しいのは承知の上で、あえて二兎を追うつもりなのだろう。
 日米側から見ると、こうした文政権の姿勢は危うく見える。8日にペンス米副大統領、9日に安倍晋三首相が文大統領に対し、「対話のための対話には意味がない」として、北朝鮮への圧力強化の維持を求めたのは、制裁緩和など安易な妥協をしないようクギを刺すためだった。
 日米にとって悩ましいのは、五輪を突破口にして日米韓の分断を図ろうとする金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の狙いを文政権がどこまで深刻に受け止めているのか、本音がつかみづらいところにある。
 北朝鮮は金委員長の実妹で、実質ナンバー2の金与正(キムヨジョン)氏を訪韓させた。北朝鮮の初代指導者・金日成(キムイルソン)国家主席の直系親族の訪韓は初めてである。もともと北朝鮮に融和的な文大統領にすれば願ってもない人選だろう。金委員長が身内を送り込んできたことに、南北融和の手応えを感じ取ったとしても不思議はない。
 北朝鮮は選手団や応援団を多数派遣し、関係改善をアピールする「ほほ笑み外交」を展開している。いわゆる美女軍団が映画のエキストラのごとく振る舞い、韓国メディアがその一挙手一投足を追う姿はどこか芝居じみてみえる。
 北朝鮮は韓国内で融和ムードをあおる一方、首都平壌では開幕前日に大規模な軍事パレードを実施した。5万人規模とされる兵士の行進に続いて、米国本土を射程に収めるという大陸間弾道ミサイル「火星15」の姿もあった。核・ミサイル放棄には決して応じないという姿勢を誇示するためだろう。
 北朝鮮は硬軟織り交ぜ、文政権の懐柔に余念がない。日米はその様子を苦々しく見守り、文大統領の「変節」を恐れて、叱咤激励している。南北融和がしょせん「時間稼ぎ」にすぎない現実に、文大統領はいつ気付くだろうか。

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