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【日経新聞】 企業は市場との対話進め株安への耐性を

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 上場企業の業績が拡大している。これまでの本紙集計によれば、最終的なもうけを示す2018年3月期の純利益は前期に比べて20%余り増え、2年連続で過去最高となる見通しだ。年度初めに公表した利益の見通しを、上方修正する例も相次いでいる。
 好調な企業業績にもかかわらず、株式相場は米国の金利上昇などをきっかけに乱高下が続いている。こんな時だからこそ、企業は業績や企業戦略、豊富な手元資金の生かし方などを市場に積極的に発信し、投資資金を引きつける努力をいっそう強めるべきだ。
 今期は世界景気の回復を映して、幅広い業種で収益が拡大している。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を使った生産効率化の追い風を受ける企業も多い。省力化のための産業用ロボットの需要拡大で純利益の見通しを従来より9%ほど引き上げたファナックは典型例の一つだ。
 好業績を背景として、企業の情報発信の仕方や中身も変わってきた。中期の事業戦略やビジョンの説明に時間が割かれるようになったのが特徴だ。
 4~12月期に16%増益だった日本電産の永守重信会長兼社長は決算発表の場で、自動車やロボットなどの分野で自社の主力であるモーターの需要が急拡大する予想を丁寧に説明した。今期に2年ぶりの最高益を見込むトヨタ自動車は、技能者の育成など決算には直接関係なさそうな事項の説明に多くの時間を割いた。
 中期の需要予測や戦略説明には、長期保有の株主を増やす狙いがある。長期株主の多い企業は短期の株価変動が相対的に小さくなり、経営者がじっくりと投資や財務の戦略を進めやすくなるとされているからだ。
 カゴメ(12月期決算)のように初めて個人向けの決算説明会を実施した企業もある。投資家向け広報(IR)に工夫を凝らすことも、株式の長期保有を促すうえで有効な手だてだ。
 株主の関心は、企業が抱える100兆円余りの手元資金の使い道にも向けられている。賃上げや投資を通じて経済を活性化させることは、企業の成長基盤を強くし、株主の利益にもかなう。
 足元の株価下落はコンピューターの自動取引で増幅されている面が大きい。企業は市場との対話を通じて、株価変動への耐性を高める必要がある。

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